STRC配当を12%に引き上げ
米ナスダック上場のビットコイントレジャリー企業ストラテジー(Strategy)が、優先株式群(デジタル・クレジット証券)の信用力強化と流動性確保、長期的なビットコイン保有戦略の維持を目的とした新たな「デジタル・クレジット資本フレームワーク(Digital Credit Capital Framework)」を6月29日に発表した。
同フレームワークは、USDリザーブ方針、STRCの配当方針、デジタル・クレジット証券の買戻しプログラム、クラスA普通株式(MSTR)の買戻しプログラム、BTC換金プログラム、の5つの施策で構成される。
ストラテジー創業者兼会長マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏は、「ビットコインを主要な財務準備資産とする方針は変わらないが、デジタル・クレジットには流動性と規律ある資本管理が求められる」とコメントしている。
ストラテジーは、6月28日時点のUSDリザーブ(米ドル準備金)が約25億5,000万ドル(約4,135億円)であることを明らかにした。この金額には、同日時点で未決済だったATMプログラムによる株式売却の手取り見込み額も含まれる。同リザーブは優先株の配当や負債利息の支払いにのみ充当され、それ以外の用途には取締役会の承認が必要となる。
また同社は、現時点で見込まれる年間の優先株配当および利息支払い額(約17億6,000万ドル:約2,853億円)に対し、最低12カ月分のUSDリザーブを維持する方針を新たに制度化した。さらに、後述するBTC換金プログラムによるUSDリザーブ積み増し向けの最大12億5,000万ドル(約2,026億円)のBTC換金枠を加えることで、合計約38億ドル(約6,162億円)、約25.9カ月分の優先株配当および利息支払いに対する流動性カバレッジを確保できるとしている。
同社は、変動配当型優先株式「STRC」について、2026年7月1日以降を権利確定日とする半月ごとの期間から年率配当を12.00%へ引き上げると発表した。
ストラテジーはSTRCが額面100ドルに近い99〜100ドルの価格帯で取引されることを目標としており、今回の配当率引き上げはその実現を支援する施策としている。
また今後は、市場金利や信用スプレッド、ビットコイン価格やボラティリティなどを踏まえ、配当率を毎月見直す方針も示した。なお、STRCの配当は取締役会または権限を付与された委員会による宣言を条件としており、保証されるものではない。
ストラテジーは、STRCのほかSTRF、STRD、STRKを含むデジタル・クレジット証券を対象に、最大10億ドル(約1,621億円)の買戻しプログラムを設立した。
市場価格が額面を大きく下回る局面で買戻しを実施することで、配当負担の軽減や資本効率の改善、信用力の強化につなげる考えだ。なお同プログラムに基づく買戻しはUSDリザーブからは実施されず、BTC売却で資金を充当する場合は、後述するBTC換金プログラムに基づくことになる。
また、クラスA普通株式(MSTR)についても、別途最大10億ドルの自社株買戻しプログラムを設定した。ただし、いずれの買戻しプログラムも、同社に特定額の買戻しを義務付けるものではない。
ストラテジーの社長兼CEOであるフォン・レ(Phong Le)氏は、「当社は一方向の資本調達から、証券の発行と買戻しを柔軟に組み合わせる、よりダイナミックな資本管理戦略へ進化していく」とコメントしている。
ストラテジーは、新たな「BTC換金プログラム(BTC Monetization Program)」も導入した。
同プログラムでは、取締役会の承認のもと保有するビットコインを売却できる仕組みを設け、その用途をUSDリザーブの積み増し(上限12億5,000万ドル)、優先株配当・利息支払いおよびUSDリザーブの補充、各種買戻しプログラムの資金調達の3つに限定するとしている。なお同プログラムは、ストラテジーにビットコイン売却や配当・利息支払い、証券買戻しを義務付けるものではない。
CFOのアンドリュー・カン(Andrew Kang)氏は、「ビットコインは資本だ。本プログラムにより、普通株式の発行よりもビットコインの換金が有利な局面では、より柔軟な資金調達が可能になる」と述べた。
なお同社は、普通株式の新規発行については、株価が修正純資産価値(mNAV)のおおむね1倍付近で推移している局面では、引き続き慎重な姿勢を維持する方針も示している。
また同社は今回の発表にあわせ、6月22日から28日までの期間にビットコインを取得しなかったことも明らかにした。6月28日時点のビットコイン保有枚数は84万7,363BTCで、平均取得価格は1BTCあたり7万5,651ドルだった。
参考:発表
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