ウズベキスタン、大統領決定でマイニング特区設立。電力制限撤廃と長期免税

税免除は2035年まで

ウズベキスタン共和国のシャフカット・ミルジヨエフ(Shavkat Mirziyoyev)大統領が、「ベスカラ・マイニング・バレー(Besqala Mining Valley)」と呼ばれる特別暗号資産(仮想通貨)マイニングゾーンをカラカルパクスタン共和国全域に創設する大統領決定(PQ-143号)に4月17日に署名した。4月20日から発効される。このゾーンは外国投資の誘致、雇用創出、再生可能エネルギーの活用促進を目的としている。

従来のウズベキスタン法では、暗号資産マイニングは主に太陽光発電による電力を使用する法人に限定されていたが、本ゾーンではこの制限が緩和される。具体的には、あらゆる再生可能エネルギー源に加え、水素発電所で生成された電力の利用が認められるほか、国家統合電力系統への接続も許可される。統一電力系統を利用する場合の電力料金は一般的な法人向け電力料金である「II料金グループ」の2倍の係数が適用され、無許可接続が発覚した場合は5倍の係数によるペナルティ料金が課される。

ゾーン内で活動できるのは、カラカルパクスタン共和国内で登記・操業する法人に限られる。申請は同共和国閣僚会議が設立する「ベスカラ・マイニング・バレー局(Direksiya)」に対して行われ、審査通過後は有望プロジェクト国家機関(Agentlik)が追加書類なしでマイニング許可を発行する。

税制面では、マイニング活動に関連する業務から得た収入について、2035年1月1日まで各種税金および手数料が免除される。一方で、居住者は毎月マイニング収益の1%を同局に納付する義務を負い、局の純利益はカラカルパクスタン共和国の予算に充当される。

居住者となる法人には厳格な要件が課される。マネーロンダリング、テロ資金供与、大量破壊兵器拡散資金供与対策に関する国際協力に参加していない国に関係する企業・人物が出資・経営・実質的支配に関与することは禁止される。また、違法マイニング、匿名性の高い暗号資産のマイニング、既存流通暗号資産の新規流通への不正導入なども禁じられている。

居住者がマイニングによって取得した暗号資産は、国内の暗号資産取引所、海外プラットフォーム、または直接契約を通じて売却・交換することができる。さらに、一度他の高流動性暗号資産へ交換した後に売却することも認められている。ただし、売却によって得た収益はウズベキスタン国内の銀行口座へ送金することが義務付けられる。

またこの決定では、非採算・低流量・減産段階にある、あるいは輸送インフラが未整備または老朽化した炭化水素鉱床を投資家に提供し、そこで発電した電力をマイニングに活用するプロジェクトも認められている。エネルギー省など関係機関は2か月以内に詳細な手続き規則を策定する。

さらに、居住者はマイニング機器の稼働で発生する廃熱を活用し、農業用地にビニールハウスなどの温室を設置することも認められている。エネルギーの多段階利用を促進する取り組みとして位置付けられる。

カラカルパクスタン共和国閣僚会議は1か月以内に同局の設立および国家登録を完了し、再生可能エネルギー設備向け用地取得の簡素化手続きを整備する。また関係機関は2か月以内にゾーンの運営規程を策定し、関連する税法改正案を提出する予定だ。

今回の措置は、規制下での大規模マイニング誘致を国家主導で進める点でカザフスタンなどの事例と共通性を持つ一方、再生可能エネルギーや低採算・廃坑ガス田といった未利用資源の活用を制度的に組み込んだ点が特徴だ。電力供給の安定性やコスト競争力次第では、ビットコインなどPoWマイニングを中心とするグローバルな採掘拠点の分散化に一定の影響を与える可能性もある。

参考:発表 
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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