銀行と暗号資産業界の対立に言及
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、米国の銀行が米国ステーブルコイン法「ジーニアス法(GENIUS ACT)」を脅かし、弱体化させようとしていると批判した。自身のSNS「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」にて3月4日に投稿している。
トランプ大統領は投稿の中で、「ジーニアス法は銀行によって脅かされ、弱体化させられている。それは受け入れられない」と述べ、銀行業界の動きを強くけん制。「米国はできるだけ早くマーケット構造の整備を完了させる必要がある」と主張した。
またトランプ大統領は、銀行が過去最高益を記録している一方で、暗号資産産業の成長を阻害していると指摘。「我々の強力な暗号資産アジェンダが銀行によって損なわれることは許さない」と述べ、もし適切な規制整備が進まなければ、この産業が中国など他国へ流出する可能性があるとの認識を示した。
さらにトランプ大統領は、「ジーニアス法は米国を『世界の暗号資産の中心地(Crypto Capital of the World)』にするための最初の大きな一歩だった」と説明。そのうえで、暗号資産の市場構造を明確化するための「クラリティ法(Clarity Act)」を成立させることが、次の重要なステップだと強調した。
投稿では、銀行業界に対して「ジーニアス法を弱体化させたり、クラリティ法を人質に取ったりするべきではない」と述べ、暗号資産業界と建設的な合意を結ぶ必要があると訴えた。「それが米国民にとって最善の利益になる」としている。
この投稿の背景には、米国の暗号資産規制を巡る銀行業界と暗号資産業界の対立がある。ホワイトハウスは両業界の利害調整を進めるため、3月1日を合意期限としていたが、利回り付きステーブルコインを巡る議論が折り合わず、期限内の合意は成立しなかった。これにより、暗号資産の市場構造を定めるクラリティー法案の上院審議は停滞している状況だ。
対立の焦点となっているのは、取引所などが提供するステーブルコインの利回りサービスだ。JPモルガン(JP Morgan)など大手銀行は、こうした仕組みが銀行預金と競合するとして銀行並みの厳格な規制を求めている。一方、コインベース(Coinbase)など暗号資産企業は、ユーザーへの利回り提供はサービス競争力に不可欠だとして規制強化に反対しており、両者の溝は深い。
3月1日の期限は過ぎたものの、議論自体は継続している。現在、上院銀行委員会では法案のマークアップの日程を再調整しており、3月中旬に動きが出る可能性が指摘されている。また業界関係者の間では、早ければ4月頃の成立の可能性や、2026年中の成立確率は市場予測で約70%前後とする見方もある。ただし、2026年の米国中間選挙が近づくにつれ議会日程は制約を受けるため、数週間以内に進展がなければ審議が長期化する可能性も指摘されている。
トランプ大統領は投稿の最後に、「この産業は真の成功に非常に近づいている。アメリカ国民からこの産業を奪うことはできない」と述べ、暗号資産産業の国内維持の重要性を改めて強調している。
参考:発表
画像:PIXTA