暗号資産市場構造法案、トランプ大統領が署名意欲も議会では足並み揃わず

政権は前向き姿勢示す一方、上院委員会で優先順位の調整続く

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、暗号資産(仮想通貨)市場構造を巡る包括的な法案について「非常に近いうちに署名したい」と述べた。この発言は1月21日の世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)年次総会(ダボス会議)での演説トランスクリプトで確認できる。

暗号資産市場構造法案は、米国において暗号資産をどのような法的枠組みで規制するかを整理することを目的とした包括的な法案だ。主な論点は、どのデジタル資産が証券に該当するのか、どの取引や事業者をどの規制当局が監督するのかといった点にある。現在の米国の制度では、「証券取引委員会(SEC)」と「商品先物取引委員会(CFTC)」の管轄が明確でない部分が多く、長年、暗号資産取引を巡る規制の不透明さが指摘されてきた。

トランプ大統領は1月21日、スイスで開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)での演説の中で、米国は「世界の暗号資産の首都」であると改めて強調した。そのうえで、「議会は暗号資産市場構造に関する法案、ビットコイン(BTC)を含めた議論に取り組んでおり、私はそれを非常に近いうちに署名したいと考えている」と述べた。

一方、議会実務では同法案の審議が当初の想定よりも後ろ倒しとなる可能性が浮上している。米メディア「ブルームバーグ(Bloomberg)」などの報道によると、上院銀行委員会では、住宅価格や生活コストへの対応を目的とした住宅関連の立法を優先する動きが強まっており、暗号資産市場構造法案の取り扱いが遅れる可能性があるという。

ブルームバーグは、こうした動きについて、政権が生活コスト対応を求める中、2026年の中間選挙を控えた局面での優先順位の変化だと報道。暗号資産の市場構造法案は、少なくとも数週間遅れ、早ければ2月下旬から3月にずれ込む可能性があると伝えている。

トランプ大統領やホワイトハウスが同法案成立に前向きな姿勢を示す一方、議会実務では審議の進行が後ろ倒しとなる可能性が浮上している。政権の意思と上院委員会における優先順位の違いが法案の進行に影響を与えている形だ。

このような状況の中、上院農業委員会は別軸で動きを見せている。同委員会は1月21日、暗号資産市場構造法案の改訂版テキストを公表し、1月27日にマークアップ(修正案討議)を実施する予定であることを明らかにした。

上院農業委員会はCFTCを所管しており、デジタル商品(デジタル・コモディティ)の現物市場をどのように監督するかといった論点を担当している。同委員会のジョン・ブーズマン(John Boozman)委員長は声明で、民主党のコリー・ブッカー(Cory Booker)上院議員と協議を重ねたとしたうえで、「消費者保護を前進させ、CFTCに新たな権限を与えることを目的としている」と説明した。一方で、「根本的な政策課題については、なお意見の相違が残っている」とも述べている。

暗号資産市場構造法案は、上院銀行委員会と上院農業委員会の双方で審議されており、最終的には両委員会の法案を一本化したうえで、上院本会議での可決を経る必要がある。政権が早期成立への期待を示す中、議会実務における優先順位の判断と委員会間の調整が、今後の焦点となりそうだ。

参考: ブルームバーグ
画像:iStocks/gorodenkoff

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