ハッシュキーがIPO手続き開始、暗号資産交換業で香港初の上場目指す

IPO目指すハッシュキーが目論見書を公開

香港を拠点に暗号資産(仮想通貨)関連事業を展開するハッシュキー・ホールディングス(HashKey Holdings)が、新規株式公開(IPO)に向けた目論見書を12月9日に公開した。

ハッシュキーは12月1日に香港証券取引所(HKEX)の上場審査を通過したと発表しており、今回の目論見書公開はその続報にあたる。同社が香港で上場を目指すのは今回が初めてで、暗号資産関連業を主事業とする企業の同地区での新規IPOは初となる見通しだ。

公開された目論見書によると、ハッシュキーはグローバルオファリングとして2億4,057万株を発行予定で、このうち2,406万株を香港投資家向けに割り当てる。仮条件は1株当たり5.95香港ドル〜6.95香港ドルで、上限価格で調達された場合は最大で約16億7,000万香港ドル(約336億円)を調達する可能性があるという。最終的な公開価格は12月16日に決定し、翌17日9:00に香港証券取引所へ上場する予定だ。

目論見書では、ハッシュキーが暗号資産交換業に加え、カストディ、ステーキング、資産運用、トークン化など複数の事業展開が説明されている。2025年9月30日時点のステーキング残高は290億香港ドル(約5,840億円)、トークナイズされた現実資産の価値は17億香港ドル(約342億円)、運用資産額は78億香港ドル(約1,570億円)としている。

また同社は独自のレイヤー2ネットワーク「ハッシュキーチェーン(HashKey Chain)」の開発も進めており、将来的には同チェーンで発生するガス手数料を収益源とする計画を示している。

損益状況についてはハッシュキーは2022年以降赤字が続いている。2024年は研究開発費や株式報酬費用などの増加により、最終損失が11億9,000万香港ドル(約239億7,000万円)となった。一方で2025年上半期の純損失は5億667万香港ドル(約102億円)で、一般管理費の減少などにより前年より改善したという。

調達資金の使途としては約40%をプロダクト開発およびインフラ強化に、約40%を市場拡大とエコシステム構築に割り当てる計画だとしている。また10%をリスク管理と運営、残りを運転資金に充てるという。

香港では2023年に暗号資産交換業者向けライセンス制度が導入され、今年はステーブルコイン規制の枠組みやステーキングサービスの提供条件などが整備された。ハッシュキーはこうした環境下でライセンス保有企業として事業を拡大してきたとしている。なお同地区で小売り向けの暗号資産取引所を展開するOSLも上場企業だが、同社はもともと証券型トークンや機関投資家向けブローカー事業を主軸として上場した経緯がある。

参考:目論見書
画像:PIXTA

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