ストラテジーCEO、ビットコイン売却の可能性に言及。「mNAVが1を下回った場合の最終手段」

ストラテジーCEOがビットコイン売却の可能性を説明

米ナスダック上場企業ストラテジー(Strategy)のCEOであるフォン・レ(Phong Le)氏が、同社が保有するビットコイン(BTC)を今後売却する可能性について11月29日に公開されたポッドキャスト番組「ワット・ビットコイン・ディドゥ(What Bitcoin Did)」のインタビューで語った。

レ氏によれば、同社がBTCを売却するのは「mNAV(企業価値を保有するBTCの時価純資産で割った倍率指標)が1を下回り、かつ新たな資本調達手段が途絶えた場合」に限られるという。同氏はこれを「数学的に合理的な財務判断」と表現し、優先株などの配当支払いを維持するため、希薄化を抑える最終手段として売却判断があり得ると説明した。

ストラテジーは約65万BTCを保有する世界最大のビットコイントレジャリー企業だ。ビットコイン購入資金を調達するための優先株発行など独自の財務戦略で知られる。同社は現在これら優先株の配当として年間7億5,000万ドル(1165億5900万円)〜8億ドル(1243億3287万円)の支払義務を抱えている。レ氏は「mNAVが1を割った状態で新株発行に頼ると、既存株主の価値を過度に損なう可能性がある」とした。

一方でレ氏は「私はビットコインを売る会社になりたくない」と強調し、BTC売却は同社のブランドや市場心理に悪影響を与えるとの懸念も示した。財務合理性が求められる場面と、市場が期待する「ビットコインを蓄積し続ける企業」というイメージのバランスが課題になると述べた。

レ氏はまた、ビットコイン売却の別の合理的理由として「税務上の最適化」を挙げた。同社は長期間にわたり様々な価格帯でBTCを購入しており、取得価格の高いBTCを売却して損失を計上することで、他の利益を相殺できる可能性があるという。

同氏はインタビュー全体を通じて、BTC売却を想定しているわけではないと繰り返し強調した。あくまで「資金調達手段が完全に閉ざされた場合の最後の選択肢」であり、現状はビットコインを購入・保有する戦略を維持しているとした。

なおストラテジーのビットコイン総保有数は11月16日時点で、合計約64万9,870BTCとのこと。手数料と経費を含む取得総額は約483億7,000万ドル(約7.4兆円)となっており、1BTCあたりの平均取得額は7万4,433ドル(約1,153万円)となっている。

参考:ワット・ビットコイン・ディドゥ
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【12/15話題】リップルやサークルらが連邦信託銀行の条件付承認、SECの個人投資家向け暗号資産カストディ解説資料など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

米DTCC子会社DTC、SECからノーアクションレター取得。規制下のトークン化サービス検証へ

米国の金融市場インフラを担うデポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(Depository Trust & Clearing Corporation:DTCC)が、子会社であるデポジトリー・トラスト・カンパニー(Depository Trust Company:DTC)について、米証券取引委員会(SEC)の取引市場部門スタッフからノーアクションレターを取得したと12月11日に発表した