蒸留酒メーカーの米ヘリテージが82Mドル相当の「ストーリー(IP)」取得へ、220Mドル調達で

Heritage DistillingがIPトークン取得へ

米クラフト蒸留酒メーカーのヘリテージディスティリング(Heritage Distilling:以下、ヘリテージ)が、暗号資産ストーリー(IP)を用いた準備資産戦略の立ち上げに向け、8,200万ドル(約120億円)相当のIPトークンを取得予定であると8月14日にXで発表した。

なおIPトークンとは、EVM(イーサリアムバーチャルマシン)互換のレイヤー1ブロックチェーン「ストーリー(Story)」のネイティブトークンだ。ストーリーでは、クリエイターがIP(知的財産)をトークン化し、ブロックチェーン上で管理・活用できるようにするプロジェクト。

今回ヘリテージは、IPトークンおよびストーリーのエコシステム支援団体であるストーリー財団(Story Foundation)からIPトークンを1IPあたり3.40ドル(約499円)で取得し、総額8,200万ドル(約120億円)分を充てる予定とのこと。またストーリー財団は、PIPE(上場企業投資)取引で得られる現金収入の100%を、90日以内に公開市場でのIPトークン買い戻しに充てるという。

ヘリテージは8月12日、総額2億2,000万ドル(約323億円)の私募によるPIPEの価格決定を公表した。この2億2,000万ドルの内訳は、現金1億ドル(約146億円)と1億2,000万ドル(約176億円)相当のIPトークンとのこと。

現金分は、普通株式や事前払込済みワラント(新株予約権)の販売によって調達されるという。一方でトークン分は、ストーリー財団からのIPトークンの提供と引き換えに普通株式や事前払込済みワラントを発行する形で受け取るとのこと。

なおストーリー財団は、IPトークンのエコシステム拡大を目的に、最初の公開企業パートナーとしてヘリテージを選定したとのことだ。これに基づきストーリー財団に加え、主要戦略パートナーも普通株式や事前払込済みワラントと引き換えに、追加のIPトークンをヘリテージに提供する予定だという。

PIPE取引の完了後、ヘリテージは約5,250万IPトークン(8月10日時点で約3億6,100万ドル=約530億円)を準備資産として保有する予定としていた。また同社は、米国ナスダック(Nasdaq)上場企業として初めてIPトークンをトレジャリー(準備資産)に採用するという。

なおヘリテージが今回実施したPIPEには、IPトークンのエコシステム支援団体ストーリー財団(Story Foundation)をはじめ、アンドリーセンホロウィッツクリプト(a16z crypto)、アンバーグループ(Amber Group)、アーリントンキャピタル(Arrington Capital)、ダオファイブ(dao5)、ハッシュド(Hashed)、ミラナベンチャーズ(Mirana Ventures)、ネオクラシックキャピタル(Neoclassic Capital)、オープンワールド(Open World)、ポリチェーンキャピタル(Polychain Capital)、セリーニキャピタル(Selini Capital)、スティックス(Stix)、シンクラシーキャピタル(Syncracy Capital)などの多くの投資家が参加している。

参考:ヘリテージ
画像:PIXTA・iStocks/Who_I_am

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この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
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