バビロンが「Trustless Bitcoin Vaults」発表、BTCをDeFiで担保として活用可能に

Babylonの「Trustless Bitcoin Vaults」発表

Bitcoin(ビットコイン)のステーキングプロトコル「Babylon(バビロン)」にてBTC保有者がトラストレス(非信託)な方法でBTCを預け入れ可能な「トラストレス・ビットコイン・ヴォールト(Trustless Bitcoin Vaults)」が、8月6日のホワイトペーパー(WP)にて公表された。

この新しいヴォールトシステムは、既存のBTCブリッジが中央集権的で信頼前提に依存している問題の解決を目的としている。なおビットコインのスクリプト言語にはコントラクト機能が不足しているため、従来はトラストレスなビットコインブリッジの構築が困難であったという。

トラストレス・ビットコイン・ヴォールトでは、BTC保有者が自己保管方式で自身のオンチェーンヴォールトにBTCを預け入れ、外部チェーンの特定のスマートコントラクトプロトコルにBTCを紐付ける仕組みを採用している。このヴォールトはプログラム可能であり、特定のスマートコントラクト状態のゼロ知識証明がビットコインチェーン上で検証された場合のみ出金が許可されるという仕組みだ。

またこのシステムはBitVM3技術を活用している。BitVM3は、ビットコイン上でスマートコントラクトを可能にするフレームワーク「BitVM」の最新版で、「ガーブルド回路(Garbled Circuit)」を使用してオフチェーンで計算処理の大部分を実行し、オンチェーンでの不正証明をよりコンパクトにすることで効率性を向上させている。

同技術により、ネイティブなビットコインをラップやブリッジを行うことなく、レンディング(貸借)、ステーブルコイン発行、パーペチュアル(無期限先物)DEX(分散型取引所)などのDeFi(分散型金融)アプリケーションで担保として使用できるようになる。これにより従来のWBTCやCoinbase wrapped BTCといったラップドトークンに依存する必要がなくなる。

具体的な貸借シナリオでは、ボブとラリーが共同でビットコイントランザクションに事前署名し、条件付き支出権を定義する。ボブは貸付を返済し価格条件が満たされた場合にBTCを償還でき、ラリーはBTC価格が閾値を下回った場合に清算可能となる。これらの条件はイーサリアムスマートコントラクト状態に依存し、出金には暗号学的証明が必要となる。

WPによると、現在99%以上のビットコインが遊休状態にあり、急速に成長するスマートコントラクトおよびDeFiエコシステムから切り離されている状況だという。またBTCは理想的な暗号資産担保の形態であり、BTC保有者は一般的に長期保有を好むため、担保として使用することでポジションを清算せずに資産を活用できるとしている。

なお同プロトコルは、すでにステーキングされた44,000BTC(約52億ドル相当)を持つバビロンのビットコインステーキングプロトコルとも統合可能だ。これによりステークされたBTCも単一のヴォールトで担保として使用でき、資本効率がさらに向上するとのことだ。

参考:ホワイトペーパー
画像:iStocks/olegback

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

シタデル・セキュリティーズ、トークン化証券とDeFiに取引所・証券会社規制の適用を提言。業界側から反発の声も

米大手マーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)が、トークン化された米国株式を取り扱うDeFi(分散型金融)プロトコルに対しても、取引所およびブローカー・ディーラーとしての規制を適用すべきだとする意見書を米証券取引委員会(SEC)に12月2日に提出した