米クラーケンが米外国資産管理局と和解、対イラン制裁違反について

クラーケンが米外国資産管理局と和解、対イラン制裁違反について

米国で暗号資産(仮想通貨)取引所などを運営するクラーケン(Kraken)が、同社の対イラン制裁違反と見られる行為について、米国財務省の外国資産管理局(OFAC)と和解に同意したことを11月28日に発表した。

和解金として、クラーケンは362,158ドル(約5,000万円)をOFACに支払うこととなる。ちなみにこの金額は、クラーケンの違反が悪質ではなく自発的に自己開示されたという外国資産管理局の判断を反映したものだという。

また外国資産管理局との和解の一環として、クラーケンは自社制裁コンプライアンス管理に10万ドルを追加投資することに同意したとのことだ。

ちなみにクラーケンは自動インターネットプロトコル(IP)アドレスブロッキングシステムを含む適切なジオロケーションツールを適時に導入しなかったために、ユーザーが同社のプラットフォームで暗号資産取引を行った際に、イランにいると思われるユーザーにサービスを利用されていたとのことだ。

また外国資産管理局はクラーケンに対して「制裁監視を支援するために複数のブロックチェーン分析ツールを導入すること」、「 ブロックチェーン分析を含む、スタッフのためのコンプライアンス関連の追加トレーニングに投資すること」、「新しい制裁コンプライアンススタッフの雇用に加えて、クラーケンの制裁コンプライアンスプログラムを指揮するための専門の制裁責任者を雇用すること」などを要求している。

クラーケンの最高法務責任者であるマルコ・サントリ(Marco Santori)氏は、暗号資産メディア「ディクリプト(Decrypt)」に対してメールで声明を発表し、「当社が発見し、自発的に自己報告し、迅速に修正したこの問題を解決できたことを嬉しく思います」と伝えたようだ。

なおクラーケンは2015年10月14日頃から2019年6月29日の間に、取引時にイランにいたと思われる個人のために826件の取引、合計約1,680,577.10ドルを処理していたと外国資産管理局は示している。

そして同機関は「クラーケンが提供する取引所に世界中の顧客がいることを知りながら、同取引所は制裁遵守義務に対して十分な注意や配慮を怠った」と指摘していた。

参考:OFAC
デザイン:一本寿和
images:iStocks/pgraphis

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

【12/16話題】SBIとスターテイルの円ステーブルコイン開発、リップルRLUSDのイーサL2対応、メタマスクのBTCサポートなど(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

ビットワイズ、「ハイパーリキッド(HYPE)」現物ETFをSECに再申請、ステーキング対応を明記

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ・アセット・マネジメント(Bitwise Asset Management:以下、ビットワイズ)が、暗号資産ハイパーリキッド(HYPE)の現物ETF(上場投資信託)の登録届出書「S-1申請書(Form S-1)」の修正版を、米SEC(証券取引委員会)へ12月15日付で提出した

JPモルガン、初のトークン化MMF「MONY」をイーサリアム上で提供開始

米金融大手JPモルガンの資産運用部門であるJPモルガン・アセット・マネジメント(J.P. Morgan Asset Management)が、同社初となるトークン化マネー・マーケット・ファンド「マイ・オンチェーン・ネット・イールド・ファンド(My OnChain Net Yield Fund:MONY)」の提供を開始したと12月15日に発表した