国際決済銀行(BIS)および日米英ら中央銀行がデジタル通貨に関するレポートを公開

国際決済銀行(BIS)および日米英ら中央銀行がデジタル通貨に関するレポートを公開

国際決済銀行(BIS)が中央銀行7ら行と共に中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関するレポートを10月10日公開した。

このレポート「中央銀行のデジタル通貨:基本原則とコア機能(Central bank digital currencies: foundational principles and core features)」は、BIS、カナダ銀行、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行、スウェーデン国立銀行、スイス国立銀行、イングランド銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)による共同報告となっている。

このレポートでは「本報告書に寄稿している中央銀行はいずれもCBDCを発行するかどうかの決定に達していない」とししており、また「代わりに本報告書では基礎的な共通の原則とCBDCの主要な特徴を概説し、支援することにより、国際的な活動を行う」としている。

またこのレポートはCBDCが持つべき3つの原則を強調しており「(1)中央銀行はCBDCを発行することによって金融または金融の安定性を損なうべきではない。(2)CBDCは既存の形態のお金と共存し、補完する必要がある。(3)CBDCはイノベーションと効率を促進する必要がある」と示している。

さらにレポートではCBDC発行にあたりいくつか課題が提言されている。例えばサイバー攻撃や自国通貨以外の利便性向上による自国通貨の価値低下などだ。いずれもCBDCが「いつでも、誰でも利用できる設計」である「ユニバーサルデザイン」を実現するための過程における課題となるとのこと。サイバー攻撃に関しては、CBDCはデジタル通貨であるがオフライン時も利用可能である必要がありプロセスのセキュリティ面に課題があると考えられている。続いてCBDC発行のメリットとして通貨の有利子化が挙げられていて、他国のCBDCの利子が自国の利子より高ければ、他国のCBDCを所有することを望み、自国通貨の価値が下がることが課題となっている。

編集部のコメント

CBDCに対してユニバーサルデザイン(いつでも、だれでも利用できる設計)を求めた際に、もしも他国のCBDCが自国のCBDCより利便性が高くなった場合、自国のCBDCを持つ人が少なくなることが考えられえます。例えば日本の経済成長は日本で物を生産して日本円と交換してもらうことから生まれてくるものなので、自国通貨を所有する人が減ってしまうことは、国力を下げる大きな要因となるのです。

このようなことからユニバーサルデザインとトレードオフして生まれるCBDCの課題を解決していくことが、今後の各国の中央銀行の動きとなるのではないかと考えます。

編集:大津賀新也(あたらしい経済)
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/Guzaliia-Filimonova・Panuwat-Sikham)

この記事の著者・インタビューイ

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「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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