マスターカードとBVNK、法定通貨とステーブルコイン対応の決済基盤を提供開始。銀行送金やカード決済も統合

マスターカードとBVNKが企業向け決済基盤を提供開始

米決済大手マスターカード(Mastercard)と、ステーブルコイン決済インフラを提供するBVNKが、企業向け決済基盤「マスターカード・グローバル・マネー・プラットフォーム(Mastercard Global Money Platform)」の提供開始を10月15日に発表した。

同プラットフォームは法定通貨とステーブルコインの両方に対応する。銀行やフィンテック企業、一般企業は、単一のAPIを通じて、複数通貨口座やリアルタイムの通貨交換、ステーブルコイン連動型カード、現地銀行口座への送金機能を自社サービスに組み込める。また、企業は自社の資金管理や決済業務にも利用できる。同プラットフォームは現在、BVNKを通じて利用可能だ。

マスターカードは今年8月、BVNKの買収を完了した。今回のプラットフォーム提供開始は、買収後初となる両社の機能の大規模な統合だ。

BVNKは、企業向けにステーブルコインの送金や通貨交換、資金管理を支援するインフラを提供している。今回のプラットフォームでは、こうしたBVNKのステーブルコイン基盤とマスターカードのグローバル決済機能を組み合わせた。これにより企業は、複数のサービス提供事業者と個別に連携することなく、必要な決済機能を利用できる。

「グローバル・マネー・アカウント」を中心に多様な決済機能を提供

同プラットフォームの中心となるのは、法定通貨とステーブルコインを一元的に管理できる複数通貨口座「グローバル・マネー・アカウント(global money account)」だ。両者を保有・交換し、送金できるサービスを自社で提供できる。

また、同プラットフォームは、マスターカードの国際送金サービス群「マスターカード・ムーブ(Mastercard Move)」とも連携する。同サービスは、銀行口座やカードなどを含む170億以上の送金先に対応している。この連携により、利用者はステーブルコイン残高を使い、受取人の現地銀行口座へ現地通貨で直接送金できる。送金の対応範囲は2027年に200以上の国・地域、40以上の通貨へ拡大する見込みだ。

さらに、同プラットフォームはステーブルコイン残高を使ったカード決済にも対応する。利用者は、対応するカードを通じて、世界数億カ所に及ぶマスターカード加盟店で決済できるようになる。また、130以上の国でバーチャルカードの発行に対応するとのことだ。

企業の資金管理について、マスターカードは複数の通貨で代金を受け取り、海外の取引先へ支払いを行う製造業者を活用例に挙げている。こうした企業は、国・地域ごとに異なる銀行口座や決済事業者を管理し、支払いに備えて資金をあらかじめ確保する必要がある場合もある。そのため、運転資金が拘束され、資金管理や決済業務の負担につながる。

こうした課題に対し、同プラットフォームは法定通貨とステーブルコインの交換や資金移動、代金の回収、支払いを一元的に管理できる仕組みを提供する。また、企業は必要な機能から導入を始め、新たな機能が利用可能になるにつれて導入範囲を拡大できる。

同プラットフォームには、決済サービスを提供するヌベイ(Nuvei)や、企業向けカード発行プラットフォームを提供するマルケタ(Marqeta)、オントップ(Ontop)、ビーム(Beem)、アーモンド・フィンテック(Almond FinTech)などが初期段階で連携する予定だ。

マスターカードとBVNKは今後、AIエージェントが利用者に代わって商品やサービスの購入・決済を行う「エージェンティック・コマース(agentic commerce)」への対応も予定している。さらに両社は、銀行預金をデジタルトークンとして表現するトークン化預金など、規制対象となる新たな形態の通貨にも対応する方針だ。

参考:マスターカード
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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