露スベルバンク、暗号資産交換業者に登録。12月からBTC・ETH・USDT取扱い開始を計画

暗号資産交換業とカストディの両方に登録

ロシア最大手銀行のスベルバンク(Sberbank)が、同国中央銀行(Bank of Russia)から暗号資産(仮想通貨)交換業者として登録を受けた。ロシアのインタファクス通信(Interfax)が10月12日に報じた。

ロシア中銀の公式登録情報によると、スベルバンクは10月12日付で、暗号資産の交換を行う事業者の登録簿に追加された。これにより同行は、自己の名義と資金で暗号資産を売買する業務を行えるようになった。

同行はこれに先立つ10月6日、暗号資産やデジタル権利の保有記録を管理する「デジタル預託機関(デジタル・デポジタリー)」としても登録されていた。

交換業者とデジタル預託機関の両方に登録されたことで、同行は顧客の暗号資産売買の相手方となる機能と、保有資産の記録・管理を行う機能を自社で提供できる体制を整えた。

当初の対象銘柄として、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(Tether)社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「USDT」の3銘柄を予定している。

ただし、サービスの開始時期はロシア中銀の判断や関連規則の整備状況に左右されるとしている。

ロシア中銀は、USDTなど外国で発行されたステーブルコインについても、新たな暗号資産規制の対象となるとの見解を示している。また、関連規則「7441-U」では、組織化された市場で取引可能な暗号資産の範囲などが定められている。ただし、同規則は司法省での登録手続き中で、施行前の段階にある。

サービスが予定通り開始されれば、同行の顧客は既存の銀行・投資アプリから暗号資産にアクセスできるようになる見込みだ。

また、スベルバンクのアナトリー・ポポフ(Anatoly Popov)副頭取は、ロシア国内の取引所における暗号資産取引額について、新たな規制制度の初年度に3兆5,000億〜4兆ルーブル、2029年までに7兆5,000億ルーブルに達するとの予測を示している。

同行は暗号資産を融資の担保として活用することも計画している。ロシア中銀が一般市場での流通を認めることを条件に、BTCに加えてETHとUSDTについても担保として受け入れる方針だ。

新法施行で銀行などの暗号資産市場参入が進む

ロシアでは、プーチン大統領が8月に署名した「デジタル通貨・デジタル権利に関する連邦法(第282-FZ号)」が9月1日に施行された。

同法は、国内における暗号資産の流通を包括的に規律する新たな法的枠組みを設けるものだ。暗号資産交換業者による売買や、デジタル預託機関による保有資産の記録・管理などを制度化した。

従来の取引所やブローカー、資産運用業者などの既存インフラも、引き続き暗号資産取引に利用できる。

銀行などの事業者は10月5日から、ロシア中銀への登録申請が可能となった。一部の既存事業者については、届け出により最短1日で市場参入できる簡易手続きも設けられている。

インタファクス通信によると、10月12日時点で暗号資産交換業者の登録簿には、スベルバンクのほか、VTB銀行や、Tバンク(T-Bank)と同じTテクノロジーズ(T-Technologies)傘下のティー・インベスト・ラボ(T-Invest Lab)など8社が登録されていた。

また、デジタル預託機関の登録簿には、スベルバンクやVTB銀行、Tテクノロジーズ傘下のアトマイズ(Atomyze)など5社が掲載されていた。

なお、すでに登録された事業者には経過措置が設けられており、2027年9月1日までに業務を新法の要件に完全に適合させる必要がある。

一方、個人投資家による暗号資産取引には制限が設けられている。

ロシア中銀の規則「7441-U」では、適格投資家に該当しない居住者がブローカーを通じて購入する暗号資産について、ブローカー1社あたり年間30万ルーブルの購入上限が定められている。また、購入に際しては知識テストへの合格も求められる。

中銀が示した取引対象銘柄の案には、BTC、ETH、USDTの3銘柄が含まれている。ただし、実際の取扱いは適用される規則や各事業者のサービス内容によって決まる。

また、2027年7月1日以降は、原則として法令で認められた事業者などを通じた暗号資産取引に限定され、個人間の直接取引も制限される。

なお、ロシア国内で暗号資産を商品やサービスの支払いに利用することは、引き続き禁止されている。新制度は暗号資産の売買や保管を認める一方、国内決済手段としての利用を解禁するものではない。

ロシア中銀は2022年1月、金融システムの安定性への懸念を理由に、暗号資産の利用やマイニング、取引所の運営などを全面的に禁止する案を提示していた。

その後、暗号資産に対する規制方針は変化しており、今回、国内最大手銀行が暗号資産交換業者とデジタル預託機関の両方に登録されたことで、銀行を通じた暗号資産サービスの提供に向けた動きが具体化している。

参考:Interfax・ Decrypt ・ロシア中央銀行・Kommersant
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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