Sui財団、DATA Networkに30Mドル投資、エコシステム統合へ

DATA NetworkがSuiへ移行

レイヤー1ブロックチェーン「スイ(Sui)」を支援するスイ財団(Sui Foundation)とデータ財団(The DATA Foundation)が、AI学習データを扱う「データネットワーク(DATA Network)」をスイのエコシステムに統合する計画を10月12日に発表した。スイ財団はデータネットワークに3,000万ドル(約47.5億円)を戦略投資し、最大の機関投資家になるとのことだ。

データネットワークは、知的財産の権利管理を目的として開発されたブロックチェーン「ストーリーネットワーク(Story Network)」から名称と事業方針を変更したプロジェクトだ。今年6月にはAI学習データの収集や権利管理へと事業の重点を移し、オンチェーン登録システム「トレース(Trace)」を立ち上げた。

今回の統合では、データネットワークが独自ブロックチェーンの運用を終了し、スイ上で動作するプロトコルへ移行する。一方、ストーリーネットワークの開発を手がけてきたピップラボ(PIP Labs)とデータ財団は、データネットワークにおける既存の保有分を維持する。また、ピップラボのCEOでポセイドン(Poseidon)の会長を務めるSYリー(SY Lee)氏が、スイ財団の戦略アドバイザーに就任する。

AIモデルの開発には大量の学習データが必要となる一方、個人が撮影した映像や録音した音声などを利用する場合には、データの提供者や利用許諾を確認する必要がある。トレースは、こうしたAI学習用データの出所や利用権限を記録し、データ提供者への支払いを処理する仕組みだ。

データ財団によると、トレースにはサービス開始以来、2億5,000万件以上のデータ提供が登録された。また、トレースは現在、1日平均300万件以上の受領記録を処理しているという。

今回の移行に伴いデータ財団は、スイの主要開発企業ミステンラボ(Mysten Labs)が開発する分散型データ保存基盤「ウォルラス(Walrus)」を、今後数か月以内にアプリケーションの標準ストレージとして採用する予定だ。一方、ネットワーク全体の移行は段階的に進められ、具体的なスケジュールは今後発表されるとのことだ。既存のネットワークは移行完了まで運用を継続する。

移行後は、スイがデータセットの利用権限やライセンスの管理を担い、ウォルラスがAI学習に使用する元のファイルを保存する。これにより、権利情報の管理と大容量ファイルの保存・アクセス制御を、それぞれの基盤で分担する仕組みとなる。

具体的には、現在のトレースではファイルの登録日時などを証明できる一方、元ファイルそのものは保存していない。今後はウォルラスに元ファイルの暗号化されたコピーを保存し、データの内容から生成される識別用の値を使って、後から処理されたファイルが元の内容と一致するか確認できるようにする計画だ。さらに、利用を許可された購入者だけがファイルにアクセスできる仕組みも提供する。

今回の移行に伴い、既存の暗号資産(仮想通貨)「DATA」は、スイ上のトークンに1対1の比率で移行される予定だ。トークン保有者の経済的条件やガバナンス上の権利は、少なくとも現在と同等の水準が維持される。また、ロック中のトークンや、一定期間にわたって段階的に権利が確定するトークンについても、既存の条件が引き継がれる。

なお、スイのエコシステムでは、AI関連の基盤整備が進められている。スイの開発を手がけるミステンラボは10月6日、グーグルクラウド(Google Cloud)と共同で、AIエージェントに与えられた権限や実際の行動を検証する「ベリファイアブル・エージェント・アービター(Verifiable Agent Arbiter:VAA)」の開発を発表した。

参考:公式ブログ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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