円ステーブルコイン「JPYC」がHTXに上場、取引開始直後に一時約2.4円へ上昇

HTXでの売買価格が1円の発行・償還レートと一時乖離

海外暗号資産(仮想通貨)取引所HTX(旧Huobi)が、日本円建てステーブルコイン「JPYC」の取り扱いを9月28日に開始した。同社が同日発表した。

取引は日本時間9月28日22:00に開始された。米ドル建てステーブルコイン「USDT」との取引ペア「JPYC/USDT」で、現物取引と売買注文を自動で繰り返すグリッド取引に対応する。入出金の対象はイーサリアム(Ethereum)上で発行されたERC-20規格のJPYCで、入金は同日16:00から受け付けられている。出金は9月29日22:00に開始する予定だ。

JPYCは、JPYC社が発行する日本円建てステーブルコインだ。日本の資金決済法上の「電子決済手段」に該当し、日本円の預貯金や国債を裏付け資産とする。同社の発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」では、所定の利用要件を満たす利用者が1JPYC=1円で発行・償還できる。

HTXでの取引は、発行済みのJPYCを売買する二次流通に当たる。その売買価格は市場の需給によって形成されるため、JPYC EXでの発行・償還レートと異なる場合がある。今回確認された価格上昇は、HTXの現物市場におけるものだ。

一方、HTXでの取引開始直後には、JPYCの市場価格が1円を大きく上回った。HTXの公開価格データによると、9月28日22:03分台の高値は1JPYC=0.015368USDT(約2.42円相当)だった。発行・償還価格の約2.4倍まで上昇した計算となる。

その後は価格が低下し、9月29日11:39時点では0.006386USDT(約1.01円相当)となった。韓国の暗号資産取引所アップビット(Upbit)上場時と同様、今回も取引開始直後に発行・償還価格と市場価格が一時的に大きく乖離したことが確認できる。

なおHTXは上場告知で、直近価格の上下10%以内に注文がない場合、新たな成行の買い・売り注文を自動で取り消すと説明していた。これは不利な価格での約定を抑えるための措置であり、1JPYC=1円を基準に取引価格を制限する仕組みではない。

JPYCは今回に先立ち、アップビットに9月17日に上場していた。同取引所は同日18:00から、韓国ウォン(KRW)、ビットコイン(BTC)、USDT建ての3市場で取引を開始した。アップビットの取引データでは、上場日の高値は37.60ウォン(当時の円換算で約4円)となり、1円の発行・償還価格を大幅に上回った。

アップビット上場時には、発行価格と市場価格の差を利用した裁定取引(アービトラージ)を行ったとの利用者の報告もX上で複数確認された。またJPYC社は9月17日夜、イーサリアムとポリゴン(Polygon)でJPYCの発行予約を一時停止したと発表し、翌18日未明までに復旧を告知した。

※2026年9月29日 16:50 追記・修正:JPYC社による発行・償還と、取引所での二次流通の区別を明確にするため、小見出しの表現を修正し、本文に説明を追記しました。記事中の「約2.4円」は、HTXの現物市場で付いた売買価格を指すもので、JPYC社による1JPYC=1円の発行・償還レートの変更を示すものではありません。

参考:HTX
画像:PIXTA

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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