米「ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウム2026」が開催、金融オンチェーン化やAIエージェントを議論

暗号資産の銀行業務への統合や資産トークン化を議論

暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンをテーマとする「ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウム2026(Wyoming Blockchain Symposium 2026)」が、米ワイオミング州のフォーシーズンズ・リゾート・アンド・レジデンシズ・ジャクソンホール(Four Seasons Resort and Residences Jackson Hole)で8月17日から20日に開催された。主要セッションは18日と19日に行われた。

同イベントは、金融・テクノロジー分野のカンファレンスを手がけるソルト(SALT)と暗号資産取引所クラーケン(Kraken)が主催した。約500人規模の招待制イベントで、米上院議員や金融規制当局者、暗号資産・金融業界の経営者らが登壇した。

米通貨監督庁(OCC)のジョナサン・グールド(Jonathan Gould)氏は、銀行と暗号資産の関係をテーマとしたセッションで、「暗号資産は銀行業務の一部」との認識を示した。OCCは米国の国法銀行などを監督し、銀行免許の認可などを担う金融規制当局だ。

グールド氏は、トランプ政権発足後にOCCが受け取った新規銀行免許申請40件のうち、23件が何らかのデジタル資産事業を含むと説明した。また、米国で決済用ステーブルコインの発行や監督などの規制枠組みを定めた「ジーニアス法(GENIUS Act)」に基づく規則策定にも言及した。グールド氏は、OCCが11月までに最終規則を公表すると説明した。

また、資産のトークン化も主要な論点となった。カストディア・バンク(Custodia Bank)CEOのケイトリン・ロング(Caitlin Long)氏は、今後12〜24カ月で株式のトークン化が大きく進むとの見方を示した。また同氏は、これによって「トークン化されたドル」が銀行システムに入り込むことになると指摘した。

資産だけでなく金融市場そのものをオンチェーンへ

リップル(Ripple)CEOのブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏は、「金融インフラの近代化(Modernizing Financial Infrastructure)」と題したセッションで、同社が伝統金融(TradFi)と分散型金融(DeFi)の橋渡しに注力してきたと説明した。

同氏は、リップルが買収した旧ヒドゥン・ロード(Hidden Road、現リップル・プライム)と旧ジートレジャリー(GTreasury、現リップル・トレジャリー)にも言及した。リップル・プライムは前年に約3兆ドル(約480兆円)を清算し、リップル・トレジャリーは同年に約13兆ドル(約2,080兆円)の決済取引を処理した。合計約16兆ドル(約2,560兆円)に上る一方、オンチェーンで処理されたのは約0.1%だったとのことだ。

ガーリングハウス氏は、ステーブルコインやXRPなどを利用することでこの割合を拡大し、取引の速度やコスト、確実性を改善できるとの考えを示した。また同氏によると、ここ半年ほどで企業のCFO(最高財務責任者)や財務担当者から、世界各地にある遊休資金をステーブルコインなどで効率的に運用する方法について質問を受ける機会が増えているとのことだ。

一方、EDXマーケッツ(EDX Markets)のトニー・アクーニャ=ローター(Tony Acuña-Rohter)CEOは、株式トークン化の大規模な普及について慎重な見方を示した。同氏は、大規模な取引量を伴うトークン化株式市場を、深刻な規制・法的リスクなしに実現することは、現在考えられているより難しい可能性があると指摘した。

AIエージェントが取引主体に、期待と慎重論も

金融市場のオンチェーン化の先にあるテーマとして、AIエージェントが自律的に経済活動を行う「エージェント型金融(Agentic Finance)」についても議論された。AIエージェントは、人間から与えられた目的に応じて自律的に判断し、外部サービスなどを利用してタスクを実行するAIを指す。

チェーンリンク・ラボ(Chainlink Labs)の機関戦略責任者アンドリュー・マコーミック(Andrew McCormick)氏は、シンポジウム会場で暗号資産メディア「ザ・ブロック(The Block)」の取材に応じ、AIエージェントやロボットとブロックチェーンの組み合わせについて言及した。

マコーミック氏は、AIエージェントが所有者に代わって取引するほか、将来的には港湾や工場などで稼働するロボットが、ステーブルコインやデジタル資産、ブロックチェーンを利用して互いに通信し、取引する可能性があるとの見方を示した。

一方、ガーリングハウス氏は、AIエージェントによる決済を巡る現在の期待について「時期尚早」との見方を示した。同氏は、企業の財務責任者が主要な企業口座へのアクセス権をAIエージェントに与えるには課題があり、最終的な責任も人間に残ると指摘した。AIエージェント決済の可能性そのものを否定するものではないとした上で、本格的な普及には時間を要するとの考えを示した。

参考:公式サイト動画1動画2 ザ・ブロック
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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