みんなの銀行とスラッシュが提携
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とステーブルコイン決済ソリューション提供のスラッシュビジョン(SLASH VISION)による、ステーブルコイン決済ソリューションにおける戦略的パートナーシップ締結が6月12日に発表された。
発表によると両社は、Web3領域における価値共創にかかる基本合意書を締結したという。
本基本合意を通じて両社は、Web3を活用する個人や事業者の金融課題を解決する新たなソリューションの共同創造を目指すとのこと。
まず両社は、みんなの銀行が展開するBaaS(Banking as a Service)基盤を通じた、スラッシュ提供の「Slash App」への銀行機能組み込みの開発を進めるとのこと。
これによりSlash Appに日本円の入出金をはじめとする銀行機能を組み込み、既存サービスの高度化を図るという。将来的にはトークン化預金とステーブルコインの交換など、両社の技術とライセンスを活用した「日本円とUSDC のオンランプ/オフランプ機能」の搭載を構想しているとのことだ。
またこの連携を通じて開発されるソリューションは、Slash Appへの提供に留まらず、同様のニーズを持つ他の事業者へも展開していく想定だという。今後は、これを見据え、具体的なユースケースの創出や課題の洗い出しを目的とした実証実験(PoC)のパートナー企業を模索していく予定とのことだ。
なおこの取り組みにあたり、スラッシュのグループ企業であるVision Financial Services株式会社は、電子決済手段等取引業の登録に向けて準備を進めているとのことだ。
両社によると近年、海外ではドル建てステーブルコインの利用が拡大している一方、日本ではまだ誰もが簡単にステーブルコインを利用できる環境が十分に整っているとは言えず、多くのユーザーがその利便性を享受しきれていないことが課題となっているという。今回の提携ではこの課題の解決に向けて、スラッシュのステーブルコイン決済領域での取り組みと、みんなの銀行がBaaS事業で培った信頼性の高い金融インフラと連携することで、Web3のマスアダプションを加速させるとのことだ。
みんなの銀行は昨年7月、TISインテックグループのTIS、ソラナジャパン(Solana Japan)、ファイアブロックス(Fireblocks)と共に、将来的なステーブルコインおよびweb3ウォレットの事業化に向けた共同検討開始を発表していた。
この共同検討では、レイヤー1ブロックチェーンであるソラナ上でのステーブルコイン発行に向けた技術的な検証を行うとともに、個人(B2C)および法人(B2B)を問わず幅広いユースケースにおける実用性を検討するとされていた。
なおスラッシュビジョンは、国内法に準拠し、セルフカストディ方式で暗号資産・ステーブルコインを利用できるクリプトクレジットカード「SlashCard」の提供を予定するシンガポール拠点の企業だ。
みんなの銀行 取締役頭取 永吉健一氏に取材

今回の発表同日、みんなの銀行は記者会見を開催。「あたらしい経済」編集部はみんなの銀行の取締役頭取である永吉健一氏に取材した。
スラッシュビジョンとの提携により開発されるソリューションでの具体的なユースケースはどのようなものでしょうか?
海外のクリエイターが日本のファンを獲得するケースは、今後さらに増えていくと思います。その際、海外への送金や日本円での受け取りといった課題については、多くの事業者から「何とかできないか」という声をいただいています。
今回の取り組みが何らかの形で実現すれば、日本円と「USDC」の間でスムーズに交換でき、その逆も可能になると考えています。そうなれば、クリエイターへの報酬支払いや各種決済が、より円滑に行えるようになるのではないでしょうか。
現在の海外送金は、着金までに1週間から10日程度かかる場合もあり、手数料も決して安くありません。そうした状況を考えると、この仕組みが実現した際には、世界の景色が大きく変わる可能性があると思っています。
私たちの取り組みがその一助となり、具体的な形として実現できればと考えています。また、単にお金を送り合うだけでなく、クリエイターの方々には税務処理や会計処理、資産管理など、さまざまな付随業務も発生します。
そうした課題についても、今後サービスの形を作っていく中で知見を蓄積し、送金・決済機能とあわせて提供できるような仕組みを構築していければと考えています。
ドル建てステーブルコインの活用についても、今後推進していくという理解でよろしいでしょうか。
具体的な内容については現時点でお話しできませんが、Web3の世界は、従来の金融インフラと比べて、より柔軟にさまざまなサービスと接続できる思想のもとで設計されています。
私たちとしては、Web2とWeb3の間をできるだけシームレスにつなぎ、ユーザーが自然にWeb3の世界へアクセスできる環境を作りたいと考えています。そして、その先には今よりもさらに大きな市場や機会が広がっている。そうした世界観を実現していければと思っています。
参考:みんなの銀行
写真:みんなの銀行 取締役頭取 永吉健一氏(「あたらしい経済」編集部)