LSEGが商業銀行預金を用いた決済基盤をローンチ
ロンドン証券取引所グループ(LSEG)が、デジタル決済サービス「デジタル・セトルメント・ハウス(Digital Settlement House:LSEG DiSH)」をローンチしたと1月15日に発表した。
LSEG DiSHは、オンチェーンおよびオフチェーンの独立した決済ネットワーク間で、プログラム可能かつ即時の決済を可能にするオープンアクセス型のプラットフォームだ。
LSEG DiSHでは、同プラットフォーム上の台帳に記録される商業銀行預金「ディッシュ・キャッシュ(DiSH Cash)」を通じて、複数の通貨および法域における商業銀行マネーを24時間365日で即時に移動できるようになるという。これにより、外国為替(FX)やデジタル資産取引において、実際の現金レッグを伴う「支払い対支払い(PvP)」および「引き渡し対支払い(DvP)」決済を提供するとのこと。
LSEGによると、市場参加者はLSEG DiSHを利用することで、デジタル資産や従来型資産を問わず、支払いと資産の受け渡しを同時に完了させる形で決済を行えるという。決済処理は、ブロックチェーンを含む複数のネットワークをまたいで調整され、LSEG DiSH上で完結させることも可能だ。またLSEG DiSHは、他ネットワークや他資産の決済を促進する「ノータリー(notary)」として機能し得るとのこと。
さらにLSEG DiSHは即時決済を前提とすることで、これまで決済中に使えなかった現金や資産を、取引中でも継続して利用可能になるという。これにより、資金管理の柔軟性が高まり、決済リスクの低減につながると説明されている。
LSEG DiSHのサービス開始にあたりLSEGは、ブロックチェーン開発企業デジタル・アセット(Digital Asset)や複数の金融機関と実施した概念実証(PoC)を踏まえたとのこと。PoCでは、金融機関向けブロックチェーン「カントン・ネットワーク(Canton Network)」を用い、商業銀行預金が同ネットワーク上でトークン化され、取引の「真の現金レッグ」として利用できることを確認したという。
今回のLSEGの取り組みは、既存の商業銀行預金を利用してプログラム可能かつ即時性を備えた決済を実現しようとする点に特徴がある。これまで即時決済や24時間稼働といった要素は、主にステーブルコインを用いたブロックチェーン決済によって実現されてきたが、LSEG DiSHは必ずしもステーブルコインを利用しなくとも、決済インフラの設計によって同様の機能を提供できる可能性を示した形だ。
なおLSEGは、ブロックチェーン技術を活用した市場インフラの整備を段階的に進めている。昨年9月には、デジタル市場向け基盤「デジタル・マーケッツ・インフラストラクチャー(Digital Markets Infrastructure:DMI)」を立ち上げ、プライベートファンドを対象とした初回取引を実施したと発表している。
参考:LSEG
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