ベトナム、国家ブロックチェーンプラットフォーム「NDAChain」正式ローンチ

国家デジタルエコシステム構築構築へ

ベトナムが、国家デジタルエコシステム構築に向け、国家ブロックチェーンプラットフォーム「NDAChain」を導入することが7月25日に発表された。

NDAChainは、国家データ協会(NDA)が開発し、公安省傘下の国家データセンター内データイノベーション・エクスプロイテーションセンターが運営するパーミッション(許可)型L1ブロックチェーンだ。49ノードのコンソーシアム型ネットワークで、SunGroupやZaloなど民間企業も検証ノードを担う。

同ネットワークはPoAコンセンサス(承認者:Authoritiesの信用を前提にブロックを確定させる合意アルゴリズム)とゼロ知識証明(ZKP)を採用し、3,600TPS、0.5秒のレイテンシーを実現。電子政府、金融、医療、物流、教育など国家システムのデータ基盤として機能し、中央集権モデルの脆弱性や国際統合の制約といった課題を解消する狙いがある。

国家データ協会技術責任者グエン・フイ(Nguyen Huy)氏は、「NDAChainは国家のリアルタイムデータを保護する層として機能する」と述べる。同氏は同ネットワークが完全分散ではなく、ハイブリッド構造である点も明確にした。

NDAChainは分散型IDソリューション「NDA DID」と、数秒で身分検証が可能な「NDAKey」アプリを提供。これにより詐欺や成りすまし防止を強化する。さらに製品識別・追跡プラットフォーム「NDATrace」と統合し、各製品にはGS1(バーコード・識別子の国際標準)準拠かつEU EBSI(EU加盟国が共同運営するパブリックセクター向けブロックチェーン基盤)互換の独自の識別子(UID)を付与。グローバルサプライチェーン参加や検証済み原産地による信頼構築を支援する。

ベトナムではデジタル変革に伴いデータ量が急増しており、国家データセンターは市民と国家データの保管庫として機能している。そのため、改ざんや漏洩を防ぐため、次世代の検証レイヤーとしてブロックチェーンが不可欠だという。NDAChainは不変性、透明性、分散性を活かし、高リスクで複雑な相互作用の中でもデータ起源の認証と追跡を可能にするとのことだ。

ベトナム情報通信省(MIC)は昨年10月、国家ブロックチェーン戦略を発表した。

同戦略は2030年までの構想を掲げ、2025年までのベトナムにおけるブロックチェーン技術の応用と開発に関する国家戦略であり、同国はブロックチェーン技術の研究、展開、応用、開発において地域をリードする国となり、国際的な地位の確立を目指すとしている。

参考:発表
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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