USDeがTONと統合へ
エセナラボ(Ethena Labs)が、パブリックブロックチェーン「TON(The Open Network)」を運営するTON財団(TON Foundation)と提携し、メッセージングアプリ「テレグラム(Telegram)」アプリ上での「USDe」提供に向けた統合を開始する。エセナラボがXで5月1日に発表した。
なおエセナラボは、ステーブルコイン「USDe」を発行するDeFi(分散型金融)プラットフォーム「エセナ(Ethena)」の開発元だ。
今回の取り組みにより、「テレグラム」のウォレット機能や「TON」上のノンカストディアル(非保管型)ウォレットを通じて、世界中のユーザーが「USDe」を送金・貯蓄・決済に活用可能になるとのこと。この統合は今年5月から段階的に開始される予定だという。
また今回の統合で「USDe」は、「TON」エコシステムの3つの主要領域に導入される予定とのこと。
1つ目は、「TON」エコシステムの主要ノンカストディアルウォレットであるトンスペース(TON Space)、トンキーパー(Tonkeeper)、マイトンウォレット(MyTonWallet)などにおいて、「tsUSDe(Ton Staked USDe)」の取り扱いが開始される予定だ。「tsUSDe」は、ユーザーが「USDe」を「TON」上でステーキングすることで発行されるステーキングトークンである。
ユーザーは、「TON」上のDEX(分散型取引所)であるストーンドットファイ(Ston.fi)やスターゲートファイナンス(Stargate Finance)を通じて「USDe」を取得し、「tsUSDe」としてステーキングすることで報酬を取得できるという。
「tsUSDe」の保有者には通常の報酬に加え、最大10,000tsUSDeを対象に、週ごとで「TON」による年率10%の追加報酬が支払われるとのこと。
2つ目は、「テレグラム」内のカストディアルウォレットである「ウォレット(Wallet)」に「USDe」が統合され、テザー(USDT)以外で唯一利用可能なドル建てステーブルコインとして取り扱われるとのこと。
「ウォレット」内では、「USDT」をステーキングして報酬を受け取れる「USDTアーンボルト(USDT Earn Vault)」も導入される予定だという。これによりユーザーは、「テレグラム」アプリを離れずにドル建てステーブルコインの運用が可能になるとのこと。
3つ目に、「エセナ」が「TON」上のDeFi(分散型金融)アプリケーションに統合され、取引、貸付、固定金利スワップ、デリバティブといった機能を提供する予定となっている。
また今年夏以降は、「tsUSDe」の報酬を使ったリアル決済手段として、デビットカードおよびApple Payとの統合が予定されているという。「TON」ユーザーは実店舗などでの買い物にも「tsUSDe」報酬を活用できる予定とのこと。また第3四半期には、「TON」上の主要なDeFiアプリケーションと連携し、「テレグラム」ユーザー向けに「エセナ」が新たな金融プロダクトの提供を計画しているとのことだ。
エセナとは
エセナでは、ステークされたイーサリアム(ETH)とスワップマージンを使用して利回りを生成する貯蓄債券とデリバティブを担保とするイーサリアムベースのステーブルコイン「USDe」を開発している。
そして「USDe」は、オンチェーンでのカストディと決済を行っている。同ステーブルコインは、ユーザーが提供する担保を利用し、パーペチュアルスワップを使ってイーサリアムをショートすることで価格エクスポージャーをヘッジし、米ドルとのペッグを維持するとのこと。
TONとは
「TON」は、テレグラム(Telegram)のCEOであるパベル・デュロフ(Pavel Durov)氏が開発を開始したブロックチェーンプロジェクトだ。テレグラムとの連携を基盤にしたブロックチェーンとして開発が進められていたものの2020年に米国証券取引委員会(SEC)の規制により開発は中止。その後TON財団が開発を引き継いでいた。
現在では「TON」は、テレグラムで展開されるミニアプリの独占的なブロックチェーン基盤となっている。「テレグラム」が提供するプラットフォーム上での支払いは「TONコイン」に限定されている。
なおテレグラムは2030年までに15億人以上が利用するメッセージングアプリになると言われている。
Introducing the product for a billion people:
— Ethena Labs (@ethena_labs) May 1, 2025
Today we announce our partnership with @ton_blockchain to power finance’s most powerful use case:
To send, save and pay with a globally accessible dollar
Internet money, now available for @Telegram‘s billion users
Details below: pic.twitter.com/oFjUvVX1CN
画像:PIXTA