(Datachain代表取締役久田哲史氏コメント追記)Datachainとトヨタファイナンシャルサービスがブロックチェーンを活用した車両の二次流通における「価値証明」と「所有権移転」についての実証実験実施

Datachainとトヨタファイナンシャルサービスがブロックチェーンを活用した車両の二次流通における「価値証明」と「所有権移転」についての実証実験実施

※取材部分追記 2020/4/2 17:00

株式会社Datachainが、トヨタファイナンシャルサービス株式会社とブロックチェーンを活用した車両の「価値証明」と「所有権移転」に係る実証実験を実施したことを、3月16日プレスリリースにて発表した。

同実証実験では、自動車の二次流通市場における車両価値の算出や車両の所有権移転の際にブロックチェーン技術を用いたデータ連携を活用することの有用性が検証された。具体的な検証の目的として、「データ連携による良質な車両の価値証明」と「将来的な電子契約/権利移転の利便性の高さ(カーシェアリング等)」の2点が挙げられている。

同実証にはEthereumを採用し、サイドチェーン上でアプリケーションを構築することで、スケーラビリティと改ざん耐性の両立を実現の検証がされた。サイドチェーンには、Cosmos基盤の Tendermint(テンダーミント)をベースにDatachainが開発したブロックチェーン「Hypermint」が利用されているとのこと。

また車両の所有権をNFT(NonFungibleToken)を用いて表現し、車両の所有権トークンと代金となるトークンの当事者間直接取引の実現を検証。同取引の検証には、取引当事者間で相互に信用が不要なトークン同士の取引技術AtomicSwapが用いられたとのこと。

またデータの提供許諾ステータスをコントラクトで管理することで、許諾情報に基づいたデータ連携の実現を検証したとのことだ。

これらの検証を行った同実証実験により、ブロックチェーン技術の高い改ざん耐性を利用することでデータの真贋の検証が可能であること、車両固有のIDに紐づく形で管理されたデータが二次流通取引時に価値を伝える点で有用であることが確認されたとのこと。

同社は、同実証実験の結果を踏まえ、次のフェーズへの移行に向けた検討を進めるとのことだ。なお同実証実験は、トヨタ自動車株式会社、トヨタファイナンシャルサービス株式会社が2019年4月に設立した「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」における取り組みの一つとなる。

またあたらしい経済編集部は、株式会社Datachainに以下の取材を行い、「今回のトヨタ社の取り組みについてDatachain社のHypermintが採用された理由とはなんでしょうか?また他社システムとの違いとはなんでしょうか?」と質問をした。

質問に対し同社は、「他社との大きな差分になったのは下記の3点と考えております。そのどれもが実証実験に限定されたスコープではなく、将来的に社会実装していく上で出てくるであろう論点・さらなるユーザビリティの向上まで考慮した提案であったため採用されるに至ったのではと認識しております。


(1)メインチェーンをEthereum、サイドチェーンをWASMによるスマートコントラクトの開発が可能なHypermintというアーキテクチャを採用することにより、スケーラビリティの担保と同時にサイドチェーンの改ざん検知・検証を行うことができる点
(2)データの提供許諾ステータスをコントラクトで管理することで、許諾情報に基づいたデータ連携を実現することにより、信頼されたデータに基づいた価値を反映することができるようになる点
(3)自動車の所有権をNFT(NonFungibleToken)として表現し、サイドチェーン上で定義した代金となるトークンとのAtomicSwapを実現したことで、当事者間でシームレスで安全な取引ができるようになり、中古車取引の多様化への活用が期待できる点」と回答をしてくれた。

また株式会社Datachainの代表取締役である久田哲史氏はあたらしい経済編集部の取材に対し『Datachainでは2018年3月の創業から一貫して、ブロックチェーンの社会実装のためにブロックチェーン技術のR&D及びビジネスユースケースの創出に取り組んできました。今回、トヨタ・ブロックチェーン・ラボ様とご一緒させていただき、このような形で実証実験の成功を無事ご報告できたことについては非常に嬉しく思っています。


一方、今回の実証実験に限らずマーケット全体に関して言えることですが、ブロックチェーンの社会実装はこれからが本番です。プロダクションにおける利用を想定すると、技術・ビジネス共に解決していくべき課題は残されています。中でも、インターオペラビリティとスケーラビリティは技術的に非常に重要なテーマだと認識しており、現在、Datachainでは双方の研究に取り組んでおります。インターオペラビリティに関しましては、異なるブロックチェーン間でデータを送受信して、複数の台帳にデータが分散されていても整合性を取りながらコントラクトを実行できるようなプロトコルを開発しています。この技術を応用することで、異なるネットワーク間で柔軟な取引・データの移動が実現可能になります。


「ブロックチェーンの社会実装」を最短路で実現するべく、Datachainでは、今後も様々なパートナー企業様と連携させて頂きながら、ブロックチェーンに対して技術・ビジネスの両面から向き合ってまいります。』とコメントをしてくれた。

 

編集部のコメント

株式会社Datachainは、株式会社Speeeが、ブロックチェーン技術を基盤としたデータプラットフォーム「Datachain」構想の事業を子会社化し、2018年3月に設立をした企業です。株式会社Speeeはデジタルコンサルティング事業、インターネットメディア事業、医療事業や東南アジアでのHR事業などを展開しています。

Datachain開発の「Hypermint」は、同社Webサイトによると、WebAssemblyによるスマートコントラクト及び Hyperledger Fabric で採用されている Read-Write set semantics をサポートしたブロックチェーンで、AWS CloudHSMとの連携をサポートしたリモート署名機能の実装したプロジェクトにも関わっているとのことです。

「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」の取り組みは昨日3月16日に発表されました。検証を進めている主なテーマは以下の4つと発表されています。
(1) 「お客さま」を軸に、グループ内外の ID 共通化・契約のデジタル化による利便性向上、お客様自身による情報管理の実現、ポイントサービスへの活用等
(2) 「車両」のライフサイクルに関わるあらゆる情報の蓄積・活用を通じた、各種サービスの高度化、新たなサービスの創出
(3) 「サプライチェーン」における、部品製造、発送などに関する情報の記録・共有による業務プロセス効率化、トレーサビリティ向上
(4) 車両などの資産や権利等、様々な「価値のデジタル化」を通じた資金調達手段多様化への活用と、それによるお客さまや投資家との中⻑期的な関係構築

同日に発表された関連ニュースについても併せて参照いただければと思います。
・ トヨタがブロックチェーンに本格参入、BUIDLとVehicle ID/Personal ID基盤の構築と連携に関する実証実験完了。「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」が検証を進めている主なテーマも公表

・ScalarとトヨタフィナンシャルサービスがScalarDLTを活用したB2C取引のデータ管理の有用性を確認

 

コメント:大津賀 新也(あたらしい経済)

(images:antoniokhr,)

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