(担当者コメント追記)トヨタがブロックチェーンに本格参入、BUIDLとVehicle ID/Personal ID基盤の構築と連携に関する実証実験完了。「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」が検証を進めている主なテーマも公表

トヨタがブロックチェーンに本格参入、BUIDLとVehicle ID/Personal ID基盤の構築と連携に関する実証実験完了。「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」が検証を進めている主なテーマも公表

※斜体部分追記 2020/3/16 20:53

トヨタファイナンシャルサービス株式会社とSecuritize Inc.の完全子会社BUIDLが、Vehicle ID/Personal ID基盤の構築やID間連携に関する実証実験を完了したことが明らかになった。この実証実験は、2019年4月に設立されたトヨタグループ横断のバーチャル組織「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」における取り組みの1つ。トヨタ・ブロックチェーン・ラボの構成会社は、トヨタ自動車株式会社、トヨタファイナンシャルサービス株式会社、トヨタファイナンス株式会社、株式会社トヨタシステムズ、株式会社デンソー、株式会社豊田中央研究所となっている。そして、今回の実証実験にはQuantstamp社も関わっている。

実証実験の概要としては、将来的にトヨタグループだけでなくあらゆる場所で利用できる共通IDとしてPersonal IDを消費者自身で情報を管理できる自己主権型IDをコンセプトとして開発。そして、Personal IDに紐づいた契約締結やポイント支払い、各種発行、証明書利用や認証などを実装してきた。

また、Vehicle IDは⾞両情報の登録、整備情報の記録、情報閲覧権限の管理、所有権の移転などが可能な基盤を構築。Vehicle IDに紐付く⾞両情報は、Personal IDに紐づいた所有権や閲覧権限を元に制御されるよう、相互の基盤は連携して動作します。スケーラビリティが必要な処理はレイヤー2技術を使⽤、秘匿化が必要なVehicle IDに関してはコンソーシアムで管理するなど、⽬的に応じてシームレスに動くような設計となっている。

これらの環境のもと、検証観点に基づいたシナリオを⽤いて実証実験を⾏い、Vehicle ID/Personal ID基盤の連携による権限管理などにおいて、ブロックチェーン技術の有⽤性を確認できたとのこと。

Securitize社の森田悟史氏は「今回のIDの実証では、レイヤー1で広く使用できるIDを使用して、コンソーシアムチェーンで管理する情報の所有権や読み取り権限の付与など権限管理を実現できたところが有意義だったと思います。パブリックorコンソーシアムではなく、このような使い分けができると、より便利な世界が実現できるのでは、と思っています。BUIDLとしてトヨタさんをはじめ様々な大手企業の方と共にコンサルや開発を続けてきましたが、これらの経験とSecuritizeという世界で豊富な実績のあるプロダクトを武器に、日本でのデジタル証券市場の拡大に貢献していきたいと思っています。トヨタさんにおけるデジタル証券に関するテーマに関してぜひ引き続きご支援させていただければと思っています」とコメントしてくれた。

なお「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」が検証を進めている主なテーマは以下の4つと発表された。

(1) 「お客さま」を軸に、グループ内外の ID 共通化・契約のデジタル化による利便性向上、お客様自身による情報管理の実現、ポイントサービスへの活用等
(2) 「車両」のライフサイクルに関わるあらゆる情報の蓄積・活用を通じた、各種サービスの高度化、新たなサービスの創出
(3) 「サプライチェーン」における、部品製造、発送などに関する情報の記録・共有による業務プロセス効率化、トレーサビリティ向上
(4) 車両などの資産や権利等、様々な「価値のデジタル化」を通じた資金調達手段多様化への活用と、それによるお客さまや投資家との中⻑期的な関係構築

そして、あたらしい経済は、トヨタ・ブロックチェーン・ラボの担当者へ以下の質問を投げかけた。

1.実証実験を踏まえて、トヨタ社は、具体的にどのような課題をブロックチェーンを活用して解決できるという結論に至ったのでしょうか。

2.トヨタがデジタル証券を利用するならば、どのようなスキームだと面白いと思いますか?

3.中国が、スマートシティへの研究開発の最先端を走っていると思います。編集部としてスマートシティの経済デジタルプラットフォームはブロックチェーンが必要だと思います。トヨタ社としては、Woven Cityとブロックチェーンの関係性はどうお考えでしょうか

その質問に対して、トヨタ・ブロックチェーン・ラボ担当者は

今回ご説明させて頂いた「お客さま」「車両」を軸にした実証実験においては、トヨタが今後目指す「仲間づくり」を実現する上で必要になる、「安全・安心」のもとで、様々な事業者が繋がっていく点、また昨今話題となっているお客様の情報管理について、お客様へその主権を移す点で、ブロックチェーン技術が活用できるということを検証しております。つまりブロックチェーンは、既存の課題解決というよりは、将来必要になるであろう技術要素として、活用できると考えております。

そして、デジタル証券に関してですが、実際に利用するか含め、現時点では詳細は未定ですが、これまで証券化が難しかった車両などの資産をトークン化し、小口化した上で、個人投資家の方に買って頂く、また、その利子をサービスの利用権などのトークンで渡すことで、単なる資金調達の多様化ではなく、お客様づくりにも繋げていけるのではないかと考えています。

さらに、Woven Cityとブロックチェーンの関係性については、住民を軸に考えると、暮らしに関わるサービスや商品を提供する様々な事業者が繋がり、お客様へのワンストップでのサービス提供を支える点、更に情報管理の主権をお客様側に移し、お客様・様々な事業者が安全・安心の元で、共存することを支える点で、ブロックチェーン技術は有用であると考えています。

ただ、Woven Cityでの活用については、現時点で決定していることはありませんが、上記の観点での活用可能性を模索していきます」と答えてくれた。

今後、トヨタ・ブロックチェーン・ラボは、様々なパートナー企業との連携をより拡げ、ブロックチェーン技術の活用可能性追求、ビジネス実装に向けた取り組みを加速していくとのこと。 具体的には、有望な活用用途の更なる検討、関係事業者まで含めた実証実験等を推進、また、世の中に数多く存在するブロックチェーン基盤について、パートナー企業と合同で、非機能面での評価項目を策定する等、当該技術の社会実装促進に向け取り組むと共に、各用途に適した基盤選定に向けた技術的な知見蓄積を図っていくとのことだ。

編集部のコメント

トヨタ社は2020年1月に、あらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」を東富士(静岡県裾野市)に設置することを明らかにしました。名前は「Woven City(ウーブン・シティ)」と命名し、2021年初頭より着工街のインフラの根幹となるデジタルオペレーティングシステムを開発していく予定となっています。あたらしい経済は、トヨタがデジタルIDやデジタル通貨をWoven Cityのデジタルインフラとして活用すると非常に面白いと考えています。コネクティッド・シティのようなスマートシティー開発において世界で最も研究開発が進んでいるのは、中国です。その中国も国家施策としてブロックチェーンに取り組んでいます。

あたらしい経済編集部は、スマートシティーの経済インフラを構築する主要技術にブロックチェーンがなるのではないかと考えております。そして、日本を代表するトヨタがブロックチェーンに大きな可能性を感じていると伝えてくれたことは、日本の多くの企業を動かす源になるのではないかと考えられます。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

 

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