スイスのルガーノ市、発行総額約138億円のデジタル債券発行へ

ルガーノ市、約138億円のデジタル債券発行へ

スイスのルガーノ市が、発行総額1億スイスフラン(約138億円)のデジタル債券を1月13日に発表した。満期は2029年のスイスフラン建無担保債券だ。

このデジタル債券は、スイスの証券取引所を運営するSIXグループの子会社で、デジタル資産の取引サービスを提供するSIX Digital Exchange(SDX)の分散型台帳基盤で発行される。なおSDXは分散型台帳基盤にR3のコルダ(Corda)を採用している。

またこのデジタル債券はSDXとSIXの両方の中央証券保管所(SIX SIS)で保有可能だという。ちなみにこのデジタル債券はSDXとスイス証券取引所の両方に上場され、取引可能となる予定だ。

そしてこのデジタル債券を「Aa3」に格付けしたムーディーズによれば「分散型台帳技術(DLT)の利用は、従来の発行と比較して著しく高いリスクをもたらさない」とのことだ。

ルガーノ市長のミケーレ・フォレッティ(Michele Foletti)氏は「ルガーノ市はブロックチェーン分野のパイオニアであり、ブロックチェーンと暗号資産の導入における国際的な中心地になることを目指しています。SDXで最新の債券を発行することは、自然な次のステップであり、これらの目標を達成するための完璧な機会です。このデジタル債券の発行は、ルガーノ市が公共セクター全体のイノベーションのリーダーとしての役割を担うものであり、その学習効果は広範囲に及ぶと思われます。したがって、私たちは公共部門がこのイノベーションを受け入れ、この新しい発行方法をサポートすることを強くお勧めします」とリリースでコメントしている。

SDX代表のデービッド・ニューズ(David Newns)氏は、「ルガーノ市のSDXにおけるデジタル債券発行は、規制対象のFMIで発行された初のデジタル地方債であり、SDXでデュアル上場するネイティブなデジタル債券商品が提供する価値提案の魅力を実証しています。SDXの効率的かつ革新的なデジタル債券発行プロセスは、SDXのブロックチェーンベースのプラットフォームとSIXの従来のインフラとの接続性を通じて、市場へのリーチを最大化します。2023年には、従来の証券発行から完全に規制されたブロックチェーンベースの金融市場インフラでのネイティブなデジタル証券発行への市場の移行が進む中、SDXのデュアル上場デジタル債券商品の採用が加速されることを期待しています。SDXはルガーノ市のプランBの一部になれたことを本当に誇りに思いますし、近い将来、彼らの革新的なブロックチェーンプロジェクトが本番稼動することを楽しみにしています」と伝えている。

なおルガーノ市は積極的に暗号資産を実社会に取り入れている。昨年10月には、マクドナルドやアートギャラリーなど市内十数か所で、暗号資産(仮想通貨)決済に対応している。

これはルガーノ市とテザー社の共同イニシアチブ「プランB財団(Plan B Foundation)」が、暗号資産決済サービス提供のゴークリプト(GoCrypto)と協力し可能になっている。

また現在米ドルペッグのステーブルコインUSDTを発行するテザー(Tether)社とルガーノ市は、覚書を締結した状態にもなっている。

参考:SDX
images:iStocks/PashaIgnatov
デザイン:一本寿和

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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