USDTのテザーが準備金の月次報告へ、監査法人BDOイタリアと連携

USDTのテザーが準備金の月次報告へ、監査法人BDOイタリアと連携

米ドルステーブルコイン「テザー(Tether)/USDT」を発行するテザーホールディングス(Tether Holdings Limited)が、8月18日に大手監査法人BDOのイタリア法人BDO Italiaを資産準備の保証人に任命し、年内に四半期ではなく月毎に報告書を公開することを目指していることを発表した。

ステーブルコインは、1:1の米ドルペッグなど一定の価値を保つように設計された暗号資産の一種だ。異なる暗号資産間や通常の現金への資金移動に広く利用されている。

テザーホールディングスは、流通するテザーの価値と同等かそれ以上のドル建て準備金を保有することで、その価値を維持していると説明している。これらの準備金は、今年5月にステーブルコイン「TerraUSD」の崩壊を受けて暗号資産市場が急落した後、長い間精査の対象になっており、課題がより顕在化していった。

英領ヴァージン諸島の会社が運営するテザーホールディングスは、会計事務所がその準備金の規模を証明する報告書を公表している。今年3月31日時点の準備金の総額は824億ドル(約11兆円)で、そのうち米国債が390億ドル(約5.3兆円)、コマーシャルペーパーが200億ドル(約2.7兆円)となっている。

直近の2つの報告書は、ケイマン諸島の会社であるMHA Caymanによるものだ。それ以前は、別のケイマン諸島の会社、ムーアケイマン(Moore Cayman)を利用していた。

BDO Italiaは、イタリア拠点の監査法人で、BDOインターナショナルの独立したメンバーファームだ。テザー社の経営陣には、少なくとも2名のイタリア人幹部が含まれている。同社の最高技術責任者のパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏はロイターに対し、ほとんどのチームメンバーはヨーロッパと、大部分の準備金が保管されているバハマに拠点を置いていると語った。

テザーはリリースで「7月にBDO Italyとの協力を開始した」と伝えており、さらに両社の関係は「完全な監査に向けた会社の次のステップである」と説明を付け加えている。

またアルドイノ氏は「私たちのコミュニティは、より大きなものを求めているように感じ、私たちが使っている監査法人を改善するよう時間をかけて求めてきました」と伝えている。

さらにアルドイノ氏は「テザーが保有するコマーシャルペーパーを、今年7月1日の84億ドル(約1.1兆円)から8月末までに2億ドル(約272億円)に減らす」と説明したが、 同氏はこれらの資金が代わりにどの資産に移動したかについて明言しなかった。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
 (Reporting by Elizabeth Howcroft, editing by Sinead Cruise, Emelia Sithole-Matarise and Richard Chang)
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

【4/24話題】香港でビットコインとイーサの現物ETFが月末から取引開始か、メタプラネットが2億円分BTC追加購入へ

香港、ビットコインとイーサリアムの現物ETFを4/30から取引開始か=報道、東証スタンダード上場メタプラネット、ビットコインを2億円分追加購入へ、ソラナのDEX「Jupiter」がモバイル版公開へ、Ultimate Wallet買収で、コインベースの米国外取引所、WIFおよびPEPEを無期限先物取引で取扱いへ、ビットコインL2「スタックス(STX)」、アップグレード「ナカモト」開始、PayPal、環境配慮の「ビットコインマイナー向けインセンティブプログラム」提案、NPOのEnergyWebらと協力で、米リップルラボ、SEC要求の約20億ドルの罰金に異議申し立て、SBI、Web3領域を中心としたコミュニティ「Bto3」創設、イーサリアム「edcon2024 TOKYO」、チケットが無料に