トヨタベンチャーズら、NFT活用の二酸化炭素除去プラットフォーム「Nori」へ出資

二酸化炭素除去プラットフォーム「Nori」が700万ドルの資金調達

二酸化炭素除去(CDR)を目的としたブロックチェーン活用のマーケットプレイス「Nori(ノリ)」の資金調達ラウンドに、トヨタベンチャーズが参加したことが分かった。

「Nori」は2月24日、シリーズAのラウンドで700万ドル(約8.9億円)の資金調達が完了したことを発表した。このラウンドは米ベンチャーキャピタルのM13が主導したもので、トヨタベンチャーズ(Toyota Ventures)の他、暗号資産などWeb3領域への投資を主軸とするプレイスホルダー(Placeholder)及びノースアイランドベンチャーズ(North Island Ventures)も参加したとのことだ。

トヨタベンチャーズは、米国シリコンバレーに拠点を置くベンチャーキャピタルファンドだ。今回は同VCが昨年6月より運用する「Toyota Ventures Climate Fund」が出資を行っている。

このファンドは、トヨタグループのカーボンニュートラル実現目標の一環として設立された。カーボンニュートラルに取り組むアーリーステージの企業全般を対象として投資を行うという。なお運用総額は約1.5億米ドル(約160億円)の出資を受けており、運用期間は15年となっている。

「Nori」は2017年に設立されたワシントン州シアトル拠点のスタートアップ企業。イーサリアム(Ethereum)およびポリゴン(Polygon)上に構築したプラットフォームを利用して二酸化炭素除去(CDR)に取り組んでいる。

具体的には、農地などの土壌に炭素を貯留する試みを含む「環境再生型農業」を行う農家と提携し、「Nori」は炭素定量化ツールを利用して、対象の農地で生成された炭素除去推定値を確認する。その数値に応じて「Nori Removal Tonne :NRTs」と呼ばれるNFTを発行する。

農家としては二酸化炭素除去(CDR)への取り組みがNFT化され、それが販売可能となり、新たな収益として得られることになる。そして企業などはそのNFTをCO2クレジットとして購入できるという仕組みだ。

現在「Nori」では10軒の農家と契約をしており、「Nori Removal Tonne :NRTs」の販売で100万ドル以上が農家に支払われているとのことだ。

なお先月2月に行われた、ビートルズの記念品コレクションをNFT化した「レノンコレクション(LennonConnection)」のオークションの販売収益の一部が、ジュリアン・レノンが設立したホワイトフェザー財団(TWFF)を通じて、「Nori」に寄付されている。

なおトヨタベンチャーズは先日2月24日にも、DeFi(分散型金融)のテラー・プロトコル(Teller Protocol)の資金調達ラウンドへ参加したことが発表されている。

なおテラー・プロトコルはイーサリアムのメインネットで、銀行口座、DeFiウォレットやFortune Teller NFTと接続し、無担保でローンを提供している。

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参考:M13Nori
デザイン:一本寿和
images:iStocks/monsitj・dalebor

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
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