米国の規制当局、「ステーブルコイン」の発行者を銀行のように取り締まるべきと発表

米国の規制当局、「ステーブルコイン」の発行者を銀行のように取り締まるべきと発表

米国財務省が主導する規制機関は月曜日、米国議会に対し「ステーブルコイン」の発行者を銀行と同様に規制するよう求めるとともに、金融機関に対して、急速に成長しているデジタル資産が国内の決済システムで果たす役割が金融システム全体のシステミック・リスクになるかどうかを評価するよう求めた。

大統領の金融市場に関するワーキンググループ(PWC)が発表した報告書は、ステーブルコイン(法定通貨の価格にペッグされたデジタル資産)に明確な規制条件を創ろうとする政策立案者の努力を後押しすることになりそうだ。

このワーキンググループは、ステーブルコインが広く金融システムに脅威をもたらす可能性があると指摘している。

USDT、USDC、BUSDなどを含むステーブルコインは、過去12ヶ月間で500%ほど流通総額が増え、1270億ドルの時価総額に達したとのことだ。

報告書では、「ステーブルコインの急速な普及により、PWCの取り組みの緊急性が高まっている」と説明し、さらに「ステーブルコインへの対策を怠ると、利用者、金融システム、経済全体を十分に保護できないまま、決済用のステーブルコインが増加するリスクがある」とも伝えている。

また報告書では「ステーブルコインは、主に他の暗号資産の取引を促進するために使用されているが、家計や企業が支払いを行う際に広く使用されるようになる可能性がある」とも説明されている。

また現在ステーブルコインには、情報開示、裏付けとなる資産の確保、償還権などさまざまなポリシーがあり、もしユーザーがステーブルコインへの信頼を失った場合には、取り付け騒ぎが発生する可能性があるとも報告書で指摘されている。

「取り付け騒ぎは、あるステーブルコインから別のステーブルコインへ、あるいは同様のリスクプロファイルを持つと考えられる他の種類の金融機関へと伝染する可能性があります。特に健全性を保つための基準がない場合には、広範な金融システムへのリスクも急速に高まる可能性があります」と警告されている。

また報告書では、ステーブルコインの発行者を保険付き預託機関と同様に規制する法律を「緊急に」制定することが提言されている。

これにより、ステーブルコインの発行者は、銀行規制当局による厳格な監督を受けるとともに、危機発生時には政府が何らかの形で支援することになる。

ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官

今年ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官が「ステーブルコインの規制体制を構築するために政策立案者は早急に行動しなければならない」と話した後、PWGは、金融業界、学識経験者、擁護団体と協議しながら、過去数カ月にわたってステーブルコインの研究を行ってきた。

ホワイトハウスの関係者は、「私たちはこの報告書をレビューし、ワーキンググループにガイダンスを提供することを楽しみにしています」と述べた。

PWGには一般的には、財務省、連邦準備制度、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)が参加しているが、今回は連邦預金保険公社(FDIC)や通貨監督庁もステーブルコインの作業会には関わっているようだ。

重要な懸念点

この報告書では、議会は、顧客に代わってデジタル資産を保有するステーブルコイン・ウォレット・プロバイダーに対しても、より厳格な監視を求めるべきだとしている。

この結論は、ステーブルコインへの監視強化を主張する人たちを失望させるだろう。なぜなら、議会が法律を可決するには何年もかかるからだ。

米シンクタンク「Center for American Progress」の金融規制担当ディレクターであるトッド・フィリップス(Todd Phillips)氏は「ステーブルコインのリスクに対処するためには、法律の制定が絶対に必要だと結論づけていることに非常に懸念を覚えます。SECとFDICは現在、これらの暗号通貨の問題点の多くに対処する規制権限を持っています」と述べている。

上院銀行委員会の議長を務める民主党のシェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員は、声明の中で報告書を賞賛し、イエレン議長と協力して今後の方針を検討する予定であると述べた。

しかし、同委員会の共和党幹部であるパット・トゥーミー(Pat Toomey)上院議員は、声明の中で「議会はデジタル資産に文句を言うべきではない」と強調し、連邦政府の規制当局がステーブルコインを管轄すべきかどうかについて疑問を呈している。

上院は現在、共和党と民主党が均等に分かれている。

もし議会が動かなければ、2007年から2009年にかけての金融危機を受けて米国の規制当局が設立した金融安定化監視評議会が、決済を中心とした一部のステーブルコインの活動をシステミックリスクとして指定し、より厳しい監視の対象とする可能性がある。

月曜日の報告書では、SECとCFTCの両方が、ステーブルコインの活動をそれぞれ証券またはデリバティブとして取り締まる管轄権を持っていることも確認された。

SEC(米国証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、議会が法案を検討している間、これらの機関は関連法の「完全な保護」をステーブルコインに展開する予定であると声明で述べている。

 (Reporting by Pete Schroeder and Michelle Price; Editing by Andrea Ricci, Paul Simao and Sandra Maler)
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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