クレカ決済与信確認をブロックチェーンで、MUFGとAkamaiの「GO-NET」正式稼働

クレカ決済与信確認をブロックチェーンで、MUFGとAkamaiの「GO-NET」正式稼働

独自ブロックチェーンでペイメントネットワークを提供するGlobal Open Network Japan株式会社(GO-NET Japan)が、ブロックチェーンプラットフォーム「GO-NET」の最初のサービスとして「GO-NET FM/センター接続サービス」の提供を2021年4月5日より開始したことを発表した。

Global Open Networkは株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループとAkamai Technoloiesが共同出資で設立したホールディングス・カンパニー。国内決済ネットワークサービスの提供・運営・管理・システム開発・保守・運用・管理となっている。

「GO-NET」はブロックチェーンの強みとAkamaiプラットフォームの強みが組み合わせられているとのこと。具体的にブロックチェーンの強みとして「改ざんへの高耐性、分散台帳による高可用性、債権管理機能」と説明されていて、Akamaiプラットフォームの強みは「世界130ヵ国以上に約32万台のサーバーを保有、サーバーを最適なルートでつなぎ高速インターネット通信を実現、24時間365日のセキュリティ監視体制(DDos対策等)」と説明されている。

また今回提供された「GO-NET FM/センター接続サービス」は、クレジットカード利用時の販売承認(オーソリ)における加盟店/決済センターとクレジットカード会社のデータ中継を担うサービスだ。そして「GO-NET FM/センター接続サービス」は、データ中継時に決済データ(Financial Message)を改ざん不可能な形でブロックチェーンに記録するとともに、クレジットカード会社が負担するネットワークコストの大幅な削減を可能にするとのこと。

「GO-NET FM/センター接続サービス」の特徴としては、既存の国内ペイメントネットワークに比べ大幅に安価なサービス提供価格を実現、改ざん耐性・障害耐性など、ブロックチェーン本来のセキュリティ・可用性を保持、秒間10万件の処理能力とエンドツーエンドで概ね2秒以内のレスポンス、決済業界のグローバルセキュリティ基準PCI DSS認定を取得、Akamaiの世界各地のサーバー網と経路最適化技術により、高速な決済通信を実現、Akamaiプラットフォームが有する各種セキュリティ機能が、サイバー攻撃などのリスクを大幅に低減、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の厳格なクラウドセキュリティ基準もクリアし、決済インフラに求められる信頼性を確保、などがあげられている。

グローバルセキュリティ基準PCI DSS認定とは加盟店やサービスプロバイダにおいて、クレジットカード会員データを安全に取り扱う事を目的として策定された、クレジットカード業界のセキュリティ基準だ。国際カードブランド5社(American Express、Discover、JCB、MasterCard、VISA)が共同で設立したPCI SSC(Payment Card Industry Security Standards Council)によって、グローバルセキュリティ基準PCI DSSは運用、管理されている。

また「GO-NET FM/センター接続サービス」で実装するFinancial Message送信機能には金融取引電文フォーマットの国際標準規格として採用が進んでいるISO8583が選ばれている。ISO8583はJSONやXMLなどの通信プロトコルにとって変わりつつあるプロトコルだ。

そして「GO-NET」は2020年12月にセイコーソリューションズ株式会社のCREPiCO決済情報処理センターと接続し、クレジットカード会社の三菱UFJニコス株式会社をローンチカスタマーとして試験運用が開始されていた。

セイコーソリューションズ株式会社データサービス本部 常務執行役員渡辺洋幸氏は「弊社では1999年に日本初のモバイル決済端末をリリースし、同時にクレジットカードをはじめ電子マネー、デビット カード、ペイジー、QRコード決済などの情報処理センターを運営しております。

CREPiCO決済情報処理センターでは、 PCI DSSを2016年に取得し、安全性と安定性の両立に努めております。弊社もGlobal Open Network Japan様のサービスを活用させていただくことにより、加盟店様やカード会社様のビジネス拡大に貢献できるよう一層励んでまいります」とコメントしている。

ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 戦略企画部長ステファン・アダムス氏は「このたびのGlobal Open Network Japan株式会社の『GO-NET FM/センター接続サービス』の提供開始を心より歓迎いたします。官民一体となりキャッシュレスが一層浸透しつつある近年、タッチ決済などのより簡便・スマートに決済を 完了できるソリューションの普及に伴い、日常のあらゆるシーンにおいてキャッシュレスを体験できることが一般の消費者様の中でも当たり前のものとなりつつあります。

そういった中でとりわけ飲料自動販売機など少額かつ高頻度の決済シーンにおけるカード取扱いのニーズも増しており、アクワイアラ様はじめ関係各社のビジネス効率化に繋がる本サービスの提供開始はキャッシュレスの流れを一層後押ししていただけるものと確信しております。今後もGlobal Open Network Japan株式会社との協業を通じて、どこでもいつでも、決済ができる環境作りを目指します」とコメントしている。

株式会社日立製作所 金融ビジネスユニット金融第一システム事業部 システム統括本部長 長嵐 伸夫氏は「このたびはGlobal Open Network Japan様の『GO-NET FM/センター接続サービス』の提供開始を心よりお慶び申し上げます。

日立は『GO-NET』のシステム開発の一部に携わらせていただきました。本サービスは『決済の限界を打ち破る』 新しい取り組みを目指しており、様々なビジネスシーンにおいて新しい決済社会を提供していくことができると期待しております。

また、三菱UFJフィナンシャル・グループ様と連携し、日立のデジタル事業戦略の中核に据える『Lumada』と GO-NETとの組み合わせにより、さらなる画期的なサービスを世の中に提供できる可能性を今後検討していきます」とコメントしている。

Mastercard 日本地区社長チャン・ユンソク氏は「GO-NET FM/センター接続サービスのご提供開始、心よりお祝い申し上げます。ブロックチェーンを活用した決済ネットワークは、既存の決済サービスの限界を超え、新たなイノベーションの扉を開く可能性を秘めています。

貴社の卓越した処理能力とスピードがあれば、IoT決済のような少額・大量の取引を低コストで処理できる可能性があり、国内のキャッシュレスの波をさらに加速することと思います。Mastercardは、貴社がキャッシュレス社会へもたらす恩恵とその未来に期待を寄せております」とコメントしている

三菱UFJニコス株式会社 デジタル企画部長 熊田 健一氏は「このたびのGlobal Open Network Japan株式会社の『GO-NET FM/センター接続サービス』の提供開始を心より歓迎いたします。キャッシュレス拡大に向けては官民一体の取り組みがなされており、政府は将来展望として、キャッシュ レス比率80%を目指すことを掲げております。

そうした将来に向けて求められる決済のあり方とは、まずは利用者が安心 して使えるセキュリティの確保ですが、IoT時代の到来を展望すると飛躍的に増加するであろうトランザクション量を、 迅速かつ安価に対応するペイメントプラットフォームの存在を抜きに語ることはできません。『GO-NET』は、こうした 業界全体の課題解決に大きな役割を果たすものと確信しております。

三菱UFJニコスは『GO-NET』と強力なパートナーシップ関係にあり、GO-NETの革新性、ブロックチェーンの特性を 生かし、加盟店様への新たな付加価値の提供に向け推進していきます。当社は今後も、Global Open Network Japan株式 会社との連携を一層強化し、安全・安心で利便性の高い決済インフラの整備に取り組んでまいります」とコメントしている。

今後「GO-NET」は、決済データ(Financial Message)をパススルーで送信するサービス、ネットワーク内で残高情報などを管理するサービス、高速ブロックチェーン技術を適用したBaaSサービスなどを提供していく予定だ。

参考:Global Open Network Japan

(images:iStocks/arbobii・artsstock)

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【7/26話題】メタプラネットが「Bitcoin Magazine Japan」の独占運営権、ビットフライヤーがFTX Japanの買収完了など(音声ニュース)

メタプラネット、「Bitcoin Magazine」日本版の独占ライセンス取得、SBI、フランクリン・テンプルトンと日本での共同出資会社設立を正式発表、ビットフライヤー、FTX Japanの買収完了、「Jito」、ステーキングプラットフォーム「ジトリステーキング」のコード公開、英FCAがコインベース傘下のCBPLに強制執行、約450万ドルの罰金課す、米ジャージーシティ、年金基金をビットコインETFに投資へ、マイニングの米マラソンデジタルが1億ドル相当のビットコイン購入、完全HODL戦略を採用、クロスチェーンプロトコル「deBridge」、ガバナンストークンDBR発行へ

Sponsored

【7/25話題】SBIが「ビットコイン現物ETF」取り扱い準備か、DEAと東京電力らがDePINの「ピクトレ」を東京で実証試験へなど(音声ニュース)

SBIがビットコイン現物ETF取り扱い準備か=報道、DEAと東京電力らがDePINコンテンツ「ピクトレ」、東京都の3区で実証試験へ、京東コインリンク科技、香港ドルにペッグのステーブルコイン発行予定と発表、フェラーリが暗号資産決済システムを欧州にも拡大、米国での導入に続き、NTTデジタルとマツモト、卒業アルバムにブロックチェーン活用へ、タイ、デジタル資産配布の登録受付を8月1日から開始。デジタルウォレット政策一環で、農産業のRWAマーケットプレイス「Agridex」、ソラナ上で初の農業取引を決済=報道