Baseが「デニム」アップグレード実施、ブロック生成間隔を200ミリ秒に短縮

取引の事前確認に使われたFlashblocksを廃止

イーサリアム(Ethereum)レイヤー2ネットワーク「ベース(Base)」のアップグレード「デニム(Denim)」のメインネット導入が11月5日に発表された。デニムは、ベースにとって2026年に入って4回目の独自アップグレードとなる。

今回のアップグレードでは、正規ブロックの生成間隔が2秒から200ミリ秒(0.2秒)に短縮された。また、ミリ秒単位の時刻を取得できる機能が追加された。ステーブルコインなどの発行・管理に使うベース独自のトークン規格「B20」では、発行者が設定した移転制限の適用範囲が広がり、コンプライアンス管理機能も改善された。

ベースは従来、正規ブロックを2秒ごとに生成していた。その間にアプリやウォレットで取引の取り込み状況を確認できるよう、生成途中のブロック情報を200ミリ秒ごとに配信する「フラッシュブロックス(Flashblocks)」が採用されていた。事前確認で表示された取引が正規ブロックに含まれない場合もあった。デニムの導入に伴い、この仕組みは廃止された。

デニムの導入後は、毎秒5つの正規ブロックが生成されるようになった。各ブロックには固有の番号とハッシュが付き、アプリケーションは標準のRPC(リモートプロシージャコール)を通じてブロック情報や取引結果を直接取得できる。これにより、事前確認の情報と正規ブロックを照合する処理が不要になった。

ベース上でブロックに取り込まれた取引が最終確定するのは、その取引を含むバッチ(取引データをまとめたもの)がイーサリアムに投稿され、同チェーン上で確定した時点だ。

ベースの開発チームは稼働直後、取引の取り込みが断続的に遅れ、利用者の取引を含まないブロックの割合が想定を上回ったとして、公式ステータスページで調査中だと報告した。

イーサリアム互換のタイムスタンプ「block.timestamp」は秒単位で、同じ秒に属する5つのブロックでは値が同じになる。今回導入された「ベースタイム(BaseTime)」は、各ブロックの時刻にミリ秒部分を補う仕組みだ。スマートコントラクトやRPCを通じて200ミリ秒刻みで時刻を取得できるため、オークションの終了時刻や注文の有効期限の確認、利息や報酬の計算などを、より細かな時間単位で処理できる。

デニムで発行者による移転管理が強化されたB20は、ERC-20互換のトークン規格だ。ステーブルコインやトークン化された現実資産(RWA)などの発行・管理を効率化するため、トークンの発行・焼却(バーン)や権限管理、移転制限、供給上限、凍結などの機能を共通化している。

10月の「コバルト(Cobalt)」では、KYC(本人確認)の許可リストや制裁対象者の拒否リストなど、トークンの移転に関するポリシーを「AND」または「OR」で組み合わせる機能が導入された。今回のデニムでは新たに「NOT」が追加され、既存のポリシーを反転して利用できるようになった。これにより、同じアドレスリストを複製することなく、許可リストと拒否リストの両方に利用できる。

さらに、B20トークンの発行者が、承認した移転代理人などに移転の実行を限定するポリシーを設定している場合、保有者が自らトークンを移転する際にも、その制限が適用されるようになった。

加えて、受取先をB20トークン自体のアドレスに指定した場合、通常の移転や新規発行、差し押さえによる強制移転は拒否される。宛先の指定を誤って資産が動かせなくなることを防ぐためだ。

なお、今回のアップグレードに伴い、一般利用者が手続きを行う必要はない。一方、フラッシュブロックスを利用していたアプリケーションは、正規ブロックを取得する方式への移行が必要となる。また、単位時間当たりのブロック生成数が10倍になったため、ブロック数を基準にロック期間や投票期間などを設定しているスマートコントラクトでは、設定されたブロック数が同じ場合、実際の期間は従来の約10分の1になる。開発者には設定や処理の確認が求められる。

ベースは今年5月の「アズール(Azul)」で、複数の証明方式を組み合わせる「マルチプルーフ(Multiproofs)」を導入した。6月の「ベリル(Beryl)」ではB20を実装し、7月にメインネットで有効化した。10月のコバルトでは、B20の機能拡張に加え、条件付きトランザクションも導入した。

画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

合わせて読みたい記事