円・米ドル建てステーブルコインの相互運用に向け
SBIホールディングスとスターテイル(Startale Group)が、米ドル建てステーブルコイン「オープンUSD(Open USD:OUSD)」の提供・普及を推進する「オープンスタンダード(Open Standard)」に参画したと10月16日に発表した。
あわせて両社は、SBI新生信託銀行が発行する円建ての信託型ステーブルコイン「JPYSC」と、OUSDの相互運用に向けた実証実験を検討しているという。OUSDのオンチェーンでの公開を受け、円・米ドル間の決済の迅速化・効率化を目指す。
両社は、円建てと米ドル建てのステーブルコインをオンチェーン上で円滑に交換・活用できる環境を見据えている。決済に加え、幅広いオンチェーン金融領域でのステーブルコインの活用拡大につなげる考えだ。
なお、今回の発表は実証実験の検討に関するものであり、新たなサービスの提供や、本番環境での決済・取引の開始を意味するものではないとのこと。
今回の参画を通じ、SBIホールディングスとスターテイルは、JPYSCとグローバルなステーブルコイン基盤との連携の可能性を検討し、円建て資産の国際的な流動性向上につなげる方針だ。
OUSDについて
OUSDは、企業の決済や国際送金など、グローバルな資金移動向けに設計された米ドル建てステーブルコインだ。独立企業のオープンスタンダードが運営し、9月30日にローンチを発表した。発行は、米決済大手ストライプ(Stripe)傘下のブリッジ(Bridge)が担う。
対応するブロックチェーンは、イーサリアム(Ethereum)、ベース(Base)、ソラナ(Solana)、テンポ(Tempo)の4つ。各チェーン上で直接発行される。準備資産はブラックロック(BlackRock)やリードバンク(Lead Bank)などの金融機関で保有され、準備資産に関する証明報告は月次で公表する方針だという。
オープンスタンダードの創設パートナーは、コインベース(Coinbase)、マスターカード(Mastercard)、ショッピファイ(Shopify)、ストライプ、ビザ(Visa)の5社だ。各社はオープンスタンダードへの出資に加え、OUSDの立ち上げに向けて、短期的に計10億ドル超の流動性を供給する計画を示していた。9月30日の発表時点では、200社超がパートナーとして参加している。
OUSDは、発行・償還の手数料を無料とし、発行・償還量に人為的な上限を設けない設計とのこと。また、準備資産から得られる運用収益の大部分を、管理手数料を控除したうえで、OUSDの普及・流通に貢献する参加企業へ還元するモデルを採用している。報酬は、各社のプラットフォームで生み出すOUSDの供給量や利用状況に応じて決まる。参加企業には、これらの実績に応じてオープンスタンダードの株式を獲得する機会も設けられる。
またストライプは9月30日、同社製品でのOUSD対応を開始した。企業は資金の受け取り・保有・送金・支払いや、カードプログラムの構築などにOUSDを利用できる。ストライプは、ステーブルコインの標準設定としてテンポ上のOUSDを採用したと説明している。
一方のJPYSCは、SBIホールディングスとスターテイルが共同開発し、SBI新生信託銀行が発行する円建ての信託型ステーブルコインだ。資金決済法上の「特定信託受益権」に当たる3号電子決済手段に該当する。
JPYSCについて
JPYSCは今年6月24日、SBI VCトレードの口座内限定で先行提供が始まった。ただし、本稿執筆時点(10月16日)では、外部ウォレットとの入出庫には対応していない。
SBI VCトレードは、信託型ステーブルコインをパブリックチェーン上で流通させる際の、関係法令・税務実務上の取り扱いの整理が必要としている。これらの整理後、監督当局の確認を前提に、パブリックチェーン上で流通できる体制への移行を目指す方針だ。
なお、SBIグループとスターテイルは、これまでもJPYSCの活用に向けた取り組みを進めてきた。今年7月には、SBIグローバルアセットマネジメント、デジFT(DigiFT)、スターテイルの3社が、JPYSCの将来的な活用を見据え、トークン化証券の決済および分配金支払いに関するテストネットでのPoC(技術検証)を発表している。
SBI Holdings and Startale Group have joined @openstandard. Together we are advancing interoperability between JPYSC, the trust-type yen stablecoin issued by SBI Shinsei Trust Bank, and Open USD, a shared dollar stablecoin for global financial activity. https://t.co/1DodTPZsPB
— Startale 💿 (@StartaleGroup) October 16, 2026