トロン上のUSDTと法定通貨の相互交換やクロスチェーン送金に対応
ポリゴンラボ(Polygon Labs)が、企業向け決済基盤「ポリゴン・オープン・マネー・スタック(Polygon Open Money Stack:Polygon OMS)」のトロン(TRON)対応を10月7日に発表した。
これにより、トロンを利用する企業は、法定通貨とトロン上の米ドル連動型ステーブルコイン「USDT」の相互交換や、ウォレット管理、他のブロックチェーンへの送金などを一つの基盤で利用できるようになった。銀行振込やカードなどによる入金のほか、銀行口座への出金にも対応する。
ポリゴンOMSは、企業がステーブルコインを利用した決済サービスを構築するための基盤だ。従来、こうしたサービスを構築するには、銀行決済網への接続やウォレット管理などについて、複数の事業者と個別に連携する必要があった。これに対し、ポリゴンOMSでは複数の決済機能を一つのシステム接続で導入できる。また、既存のウォレット管理事業者やコンプライアンス関連サービスとの連携を維持し、必要な機能だけを選んで利用することも可能だ。
今回対応したトロンは、ステーブルコインの送金に広く利用されているブロックチェーンだ。ポリゴンラボによると、トロン上では940億ドル(約14兆8,323億円)を超えるUSDTが流通しており、全ブロックチェーンにおけるUSDT供給量の半分以上を占める。また、トロン上で行われた資金移動の累計額は30兆ドル(約4,734兆円)を超えているとのことだ。
実際に、フィリピン、メキシコ、アルゼンチン、ナイジェリアなどでは、送金サービスやフィンテック企業の顧客が、すでにトロン上のUSDTを受け取り、保有し、送金しているという。一方、こうしたUSDTを銀行口座への出金や他のブロックチェーンでの決済に利用するには、それぞれの決済網を接続する仕組みが必要となる。今回の対応により企業は、顧客に別のブロックチェーンへの移行を求めずに、こうした決済サービスを構築できる。
ポリゴンラボは、こうした決済基盤の構築に向け、今年1月に米国で法定通貨と暗号資産(仮想通貨)の交換サービスを展開するコインミー(Coinme)と、企業向けウォレット基盤を提供するシーケンス(Sequence)の買収計画を発表した。10月7日の発表では、シーケンスの買収は完了している一方、コインミーについては買収手続き中と説明されている。ポリゴンラボは、法定通貨の入出金機能とウォレット管理などの技術を組み合わせ、ポリゴンOMSの整備を進めてきた。
具体的には、法定通貨の入出金には「ポリゴン・ランプス(Polygon Ramps)」を利用する。同サービスは、米国48州を対象とする送金業ライセンスやライセンス免除などの規制対応基盤を通じて、法定通貨の入出金機能を提供する。企業は銀行振込やカード、現金などで受け取った法定通貨をトロン上のUSDT(TRC-20)に交換できるほか、USDTを米ドルに交換し、銀行口座やカード、現金受取拠点などへ出金できる。
また、ポリゴンOMSでは、顧客ごとに繰り返し利用できる固定のトロン入金アドレスを割り当てられる。USDTがそのアドレスに届くと、ポリゴンOMSが入金を該当する顧客に自動的に紐付けるため、企業は顧客ごとの入金状況を管理できる。ウォレットについては、認可を受けた暗号資産の保管事業者が秘密鍵を管理するカストディアル型と、ユーザー自身が秘密鍵を管理する組み込み型に対応する。
さらに、クロスチェーン送金サービス「ポリゴン・トレイルズ(Polygon Trails)」を通じて、トロンとイーサリアム(Ethereum)などのEVM対応ブロックチェーン間で資産を移動できる。例えば、トロン上のUSDTをイーサリアム上の米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」に交換して送金する処理を、一度の操作で実行できる。この際、利用者がブロックチェーン間の資産移動に使うブリッジを直接操作する必要はない。
こうした機能の利用例として、国際送金サービスでは、トロン上で受け取ったUSDTを現地通貨に交換し、受取人の銀行口座へ送金できる。また、単発の仕事などを請け負うギグワーカー向けの報酬支払いサービスでは、働き手ごとに固定の入金アドレスを割り当てられる。これにより、暗号資産取引所などから送られるUSDTを受け取り、入金を管理できる。
ポリゴンラボによると、今回のトロン対応は第1段階に当たり、今後は対応する資産、市場、決済機能を拡大する予定とのことだ。また同社は、ポリゴンOMSが対応するブロックチェーンについても、すでに資金移動が行われているネットワークを中心に拡大していく方針を示している。
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