販売所・取引所の画面上の導線も議論へ
金融庁が、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)との7月15日の意見交換会で、暗号資産(仮想通貨)交換業者の利用者保護や自主規制機能の強化を求めた。同庁が9月17日に公表した意見交換会の資料で明らかになった。
利用者保護について金融庁は、「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」の報告書で示された懸念に言及した。販売所と取引所の両サービスを提供する事業者が、事業者にとって収益性の高い販売所での取引に利用者を誘導しているのではないかというものだ。
一般に、販売所は利用者が暗号資産交換業者を相手に売買する方式だ。一方、取引所は、利用者の売買注文を突き合わせて取引を成立させる方式となる。
金融庁は、2024年11月に施行された金融サービス提供法の改正により、暗号資産交換業者にも、顧客の最善の利益を勘案し、誠実かつ公正に業務を行う義務が課されていると説明した。
その上で金融庁は、販売所と取引所のUI(ユーザーインターフェース)における導線を含め、どのような対応が顧客本位となるかについて、JVCEAと対話を進める意向を示した。利用者が各サービスの取引画面に進む経路なども、議論の対象となる。
また、金融商品取引法(金商法)の下で求められる自主規制規則の整備に際し、顧客への適切な情報提供や適合性原則の在り方についても議論するよう金融庁は求めた。適合性原則は、顧客の知識や経験、財産の状況、取引目的などに応じた勧誘を求めるものだ。
自主規制機能の強化に向けては、各種委員会の早期立ち上げに加え、セキュリティ監査や不公正取引の売買審査などを担う専門人材の確保が要請された。金融庁は、協会のガバナンス改革を機に、理事に求められる知見や倫理観などを整理し、関係者と共有するよう求めた。
AIを悪用した攻撃への対策強化、侵入テストの実証も
また金融庁はサイバーセキュリティについて、高度な能力を持つ「フロンティアAI」の発展に伴い、脆弱性の発見から攻撃までの期間が短縮され、高度なサイバー攻撃が増加することへの懸念を示した。各社に迅速かつ適切な修正プログラムの適用が求められるとともに、JPCrypto-ISACなどを通じた業界の「共助」が機能するよう、大手事業者を中心とした対応が要請された。なおJPCrypto-ISACは、暗号資産業界のサイバーセキュリティ情報を共有・分析する団体である。
さらに金融庁は、複数の暗号資産交換業者を対象に「脅威ベースのペネトレーションテスト(TLPT)」の実証事業を実施する方針を説明した。TLPTは、実際の攻撃者の手法を想定した模擬攻撃により、防御や対応の能力を検証するものだ。
実証は委託先事業者が実施し、結果を協力した暗号資産交換業者に還元する。TLPTの有効性など、業界に共通する知見が得られた場合には、業界全体にも還元する考えが示された。
利用者への啓発では、金融経済教育推進機構(J-FLEC)との連携強化や協働を通じ、暗号資産に関するリテラシー向上に取り組むよう、金融庁はJVCEAに求めた。このほか、暗号資産を利用した詐欺やオンラインカジノに係る賭博の防止、マネーロンダリング対策の継続も要請した。
参考:金融庁
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