米SECとCFTC、暗号資産規制を既存権限で推進へ。クラリティ法案は前進せず

法案成立を待たず既存権限で規制整備へ

米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ(Michael Selig)委員長と米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス(Paul Atkins)委員長が、両機関に現在与えられている法的権限の範囲内で暗号資産(仮想通貨)の規制整備を進める姿勢を9月16日にそれぞれ自身のXアカウントで示した。

両氏の発言は、暗号資産の市場構造を包括的に定める「デジタル資産市場明確化法案:クラリティ法案(Digital Asset Market Clarity Act:CLARITY Act)」が米上院で前進できなかったことを受けたものだ。

米上院は15日、クラリティ法案の審議入り動議に対する討論終結動議を採決したが、賛成49票、反対50票となり、可決に必要な60票に届かなかった。今回否決されたのは法案そのものではなく、法案を審議へ進めるための手続き上の動議だ。

共和党のトム・ティリス(Thom Tillis)上院議員は再検討動議を提出しており、再採決の余地は残されている。

米国では、SECが証券市場、CFTCが商品先物やデリバティブ市場などを監督している。暗号資産については、どの資産や取引を証券としてSECが監督し、どの領域をCFTCが監督するのかが規制上の主要な論点となってきた。

クラリティ法案は、こうしたSECとCFTCの管轄の線引きなどを法律で定め、米国の暗号資産市場に包括的な連邦規制の枠組み整備を目的としている。

セリグ氏は今回の投票結果について「残念だった」と述べ、米国民には暗号資産市場における規制の明確性、法的確実性、消費者保護が必要だと指摘した。

そのうえでセリグ氏は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、暗号資産市場について、「将来の変化にも対応できる規制の枠組みを整備すると約束している」と説明した。CFTCは既存の法的権限を活用してその実現を支援する考えを示した。また、「金融の新たなフロンティア」に向けた規則を公表する準備ができていると述べた。

アトキンス氏はXでの投稿にて、クラリティ法案に取り組んできた政権や議会、投資家、イノベーターに謝意を示した。さらに「法律が成立するかどうかにかかわらず、SECに法律上与えられた権限の範囲内で断固として行動する」と表明し、米国の投資家と技術の将来を形作る起業家に確実性をもたらす考えを示した。

両氏が言及した「既存の法的権限」とは、新たな法律の成立によって与えられる権限ではなく、現行法に基づいてSECやCFTCにすでに与えられている権限を指す。

SECはすでに、こうした既存権限に基づく暗号資産規制の整備を進めている。同委員会は8月、暗号資産に関係する特定の投資契約について、証券募集のための制度を整備する規則案「暗号資産規制(Regulation Crypto Assets)」を提案した。

ただし、SECやCFTCが規則を策定できるのは、現行法によって各機関に与えられた権限の範囲内となる。一方、クラリティ法案は議会が法律を制定し、SECとCFTCの管轄を含む暗号資産市場の規制枠組みの明確化を目指している。

このため、両機関が既存権限に基づいて進める規制整備と、クラリティ法案による包括的な市場構造の法制化は位置付けが異なる。

pic.twitter.com/N87oIV8mXC

— Mike Selig (@ChairmanSelig) September 16, 2026

My thanks go to everyone who put so much effort into the CLARITY Act— across the Administration, Congress, investors, and innovators. Our collective conviction that America must continue to lead is indispensable.

I have been unequivocal: with or without legislation, we will act…

— Paul Atkins (@SECPaulSAtkins) September 16, 2026

画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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