ビットゴー、ビットコインウォレット向け量子リスク管理機能を発表

機関投資家向けに量子リスク管理機能を提供

暗号資産(仮想通貨)の保管(カストディ)サービスを提供するデジタル資産インフラ企業ビットゴー(BitGo)が、機関投資家向けのビットコインウォレットを対象とした新たな量子リスク管理機能の提供開始を7月9日に発表した。同機能は、将来的な量子コンピューターによるセキュリティリスクに備えるためのものだ。

現在、ビットコインを現実的に攻撃できる量子コンピューターは存在していない。しかし、将来的に十分な性能を持つ量子コンピューターが実現した場合、公開鍵がブロックチェーン上で露出した一部のビットコインアドレスが攻撃対象になる可能性が指摘されている。ビットゴーは、こうしたリスクが現実化する前から備えられるよう、新機能を追加した。

今回の新機能では、量子リスクを把握し、低減するための機能が追加された。具体的には、サポート対象のビットコインウォレット全体における潜在的な量子関連エクスポージャーを把握するための「量子リスク・スコア」に加え、量子関連エクスポージャーの高いアドレスから、鍵の露出を抑えた新たなアドレスへ資金を移動するためのガイド付きワークフローを提供する。

またビットゴーは、ビットコインで資産を管理・送金する際の単位となる「UTXO(未使用トランザクションアウトプット)」を、アドレスごとにグループ化し、優先順位付けする新たな選択方式を導入した。同社によると、これにより、資金の一部のみを支出する際に生じる量子関連エクスポージャーを低減できるとのことだ。このほか、量子リスクを高める可能性があるアドレスタイプや取引パターンへの依存を減らす管理機能も追加された。

ビットゴーは、機関投資家向けに複数の秘密鍵による承認を必要とするマルチシグウォレットを提供している。こうしたウォレットは、単一の秘密鍵に依存しないため、機関投資家など高い安全性が求められる運用で利用されている。今回の新機能は、サポート対象のUTXOベース資産およびマルチシグウォレット構成に適用される。現在利用できる仕組みを活用して量子リスクを低減することが目的とのことだ。

また同社は、今回の機能は将来ビットコインのプロトコルレベルで実施されるポスト量子署名方式への更新に代わるものではないと説明した。つまり、ビットコインの暗号方式そのものを変更するのではなく、現在のウォレット運用を改善することで将来のリスクに備える取り組みという位置付けだ。

ビットゴー共同創業者兼CEOのマイク・ベルシェ(Mike Belshe)氏は、「機関投資家は量子リスクが現実のものになるまで待つ必要はない」とコメントした。同氏は、今のうちから量子リスクを低減し、ウォレット運用を強化することで、現在のセキュリティモデルから将来のポスト量子規格への移行に備えるべきだとの考えを示した。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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