ヴィタリック、「リーン・イーサリアム」をザ・マージに続く「第3の主要な進化段階」と位置付け

「リーン・イーサリアム」をザ・マージに続く「第3の主要な進化段階」と位置付け

イーサリアム(Ethereum)共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムの長期開発構想「リーン・イーサリアム(Lean Ethereum)」の方向性について、自身のXアカウントで7月5日に説明した。

同氏は、同構想を2022年9月に実施された「ザ・マージ(The Merge)」に続くイーサリアムの「第3の主要な進化段階」と位置付けた。また、今後3〜4年かけてプロトコルのほぼ全ての主要部分を段階的に置き換える考えを示している。

リーン・イーサリアムは、イーサリアムの設計を簡素化しながら、安全性やスケーラビリティ、プライバシー、量子耐性を強化することを目指す長期開発構想だ。イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の研究者ジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏が昨年提唱しており、ブテリン氏もこれまで関連する技術について個別に提案や解説を行ってきた。

今回ブテリン氏は、リーン・イーサリアムは単一の大型アップグレードではないと説明した。同氏によると、今後3〜4年かけて複数の改善を段階的に実装するという。

リーン・イーサリアムで目指すプロトコル刷新

ブテリン氏は、リーン・イーサリアムでは、イーサリアムをよりシンプルで保守しやすいプロトコルへ見直しながら、安全性やスケーラビリティ、プライバシー、量子耐性を長期的に強化する考えを示した。

その一例としてブテリン氏は、現在の検証方式を再帰的STARKへ置き換えることや、量子コンピューターに脆弱な暗号技術を耐量子技術へ移行すること、プロトコル全体で形式検証(Formal Verification)を進めることなどを挙げた。同氏は、これらにより、安全性や拡張性を高めながら、将来の技術変化にも対応しやすい基盤を目指すとしている。

またブテリン氏は、「プライバシーはもはや後付けではなく、第一級の目標だ」と説明した。つまり、プロトコル設計の初期段階からプライバシーを前提として組み込む考えだ。その一例として、フレーム(Frames)やメンプール(Mempool)、ステートツリー(State Tree)などの設計では、量子耐性を備え、中間者を必要としないプライバシー保護された取引を前提に検討するとしている。

さらにブテリン氏は、今回の構想で最も大きな変更点はステート設計になるとの見方を示した。同氏によると、この変更は、用途ごとに適したデータ管理の仕組みを導入し、より高い拡張性を実現することを目的としている。具体的には、現在の動的ステートはおおむね維持しつつ、拡張は中程度にとどめる一方で、より拡張性が高いが制約もある新しい種類のステートを追加する方向で議論を進める考えだという。また、新しいステートはERC20やNFT、多くの分散型金融(DeFi)で利用しやすい一方、ユニスワップ(Uniswap)のような契約やオンチェーン注文板など、より複雑な用途には必ずしも適さない可能性がある。新しいステート設計については、アプリケーション開発者から幅広いフィードバックが必要になるとの認識も示した。

このほかブテリン氏は、今後約5年間にわたり、ガスリミット(Gas Limit)の引き上げやブロブ(Blob)容量の拡大、スロットタイム(Slot Time)の短縮を段階的に進める方針も示した。同氏は、まずイーサリアムの次期アップグレード「グラムステルダム(Glamsterdam)」で大幅なガスリミット引き上げを予定していると説明している。

画像:大津賀新也(あたらしい経済)撮影

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渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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