ストラテジー優先株「STRC」が急落、額面に相当する100ドルから乖離拡大

STRCが一時82.5ドル台まで急落

ビットコイン(BTC)保有企業ストラテジー(Strategy)の優先株「STRC」が大幅下落した。「トレーディングビュー(TradingView)」の価格データによると、STRCは6月18日(日本時間6月19日)に一時82.5ドル(約1.3万円)付近まで下落した。その後も下落基調が続き、記事執筆時点では80ドル(約1.3万円)台で推移している。

STRCは、ストラテジーが資金調達を行うための主要な優先株商品の一つだ。同社はSTRCなどの優先株や転換社債を発行して調達した資金でBTCを購入している。

また、STRCは額面に相当する100ドル(約1.61万円)を基準として設計された優先株であり、配当率の設定や新規発行では100ドルが基準となる設計となっている。また同銘柄は、市場価格が100ドル近辺で推移することを目指し、配当率を調整できる設計を採用している。そのため市場では100ドルが重要な価格水準として認識されている。

STRCの市場価格が額面に相当する100ドルを大きく下回る状態が続けば、新規発行を通じた資金調達効の経済合理性が低下する可能性がある。

一方で、STRCの価格は今回の急落以前から100ドルを下回って推移していた。トレーディングビューの価格データによると、同銘柄は5月中旬まで100ドル近辺で推移していたものの、その後は徐々に下落し、5月末時点では 98ドル(約1.58万円)台となっていた。

またストラテジーは6月上旬、5月26日から31日にかけて合計32BTCを売却したことを開示している。同社によると、この売却はSTRCなどの優先株商品の配当支払いを支える米ドル準備金の補充を目的としたものだった。

その後もSTRCの市場価格は下落基調が続き、6月中旬には95ドル(約1.53万円)を下回った。さらに6月18日には売り圧力が強まり、一時82.5ドル台まで下落した。

今回の急落について、市場関係者からはレバレッジを利用した投資家の強制清算(リクイデーション)が連鎖的に発生したとの見方が出ている。一方で、ストラテジーの財務状況やSTRCの配当支払い能力そのものが悪化したことを示す材料は確認されていない。

ストラテジーのマイケル・セイラー(Michael Saylor)会長は日本時間6月22日、同社の米ドル準備金を14億ドル(約2,260億円)へ増額したと発表した。また同社は同時に520BTCを追加購入し、保有BTCは84万7,363BTCになったとしている。

セイラー氏は、この準備金について、STRCを含む優先株や債券商品などの「デジタルクレジット(Digital Credit)証券」の信用力を支えるためだと説明している。ただし、同社は現時点でSTRCの買い戻しや価格維持策については発表していない。

一方で市場関係者の間では、今回の価格下落が必ずしもSTRCの信用力悪化を意味するものではないとの見方も出ている。

STRCは100ドルを基準として配当が設定される仕組みを採用している。そのため市場価格が100ドルを下回ると、新たに購入する投資家は同じ配当額をより安い価格で受け取れることになり、利回りは上昇する。

また、STRCは100ドル以上で取引されている場合に新規発行を通じた資金調達を行いやすくなる一方、市場価格が100ドルを下回る局面では新規発行による供給圧力が抑制される。このため一部の市場関係者は、価格下落時には高い利回りを求める投資家の需要が増加しやすい構造になっていると指摘している。

市場では今後、この価格乖離が一時的な流動性要因によるものなのか、それともSTRCに対する需要の変化を反映したものなのかが注目されている。

参考:トレーディングビューストラテジー
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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