DCJPYでST決済をDVP化
SBI証券、大和証券、SBI新生銀行、BOOSTRY(ブーストリー)、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)、ディーカレットDCPの6社が、トークン化預金「DCJPY」を用いたセキュリティトークン(ST / デジタル証券)のDVP(Delivery Versus Payment)決済に関する実発行検証に向けた協業を開始したと12月26日に発表した。
DVP決済とは、証券と資金の授受をリンクさせ、代金の支払いが行われることを条件に証券の引渡しを行う決済方法。逆に、証券の引渡しが行われることを条件に代金の支払いを行うことにより、仮に決済不履行が生じても取りはぐれが生じない決済方法でもある。
このプロジェクトは、ST二次流通市場における新たな決済スキームの実用化を目的とするもので、トークン化預金を用いたST決済の実発行検証は国内初だという。
発表によれば国内のST市場は、2020年のデジタル債発行を皮切りに成長を続けており、2025年11月末時点で公募発行総額は約2,700億円規模に拡大しているという。一方で、STの受け渡しがブロックチェーン上で即時に行われるのに対し、資金決済は銀行振込が中心であることから、決済リスクの管理や事務負担の大きさが課題として指摘されてきた。
こうした背景から、デジタル通貨を用いたDVP決済の標準化と早期実用化が市場関係者の間で期待されているという。
今回の実証では、BOOSTRYが開発・運営するST向けブロックチェーン「ibet for Fin」で発行・管理されるSTと、ディーカレットDCPのプラットフォームを通じてSBI新生銀行が発行するトークン化預金DCJPYを連携させ、ST二次流通時のDVP決済を検証する。
具体的には、SBI証券と大和証券間のST売買取引を想定し、STの移転とDCJPYによる資金決済を相互に条件付けることで、証券と資金の同時履行を実現するスキームを検証対象とする。
2025年8月には、検証用データを用いてST社債とDCJPYによる疑似的なDVP決済を実施しており、STの二次流通を想定した業務フローやシステム連携の整理を完了しており、今後はSTおよびDCJPYを実際に発行した上での検証へと段階を進めるとのこと。
このプロジェクトは、将来的なSTの即時グロス決済(RTGS)を見据えた初期段階の取り組みと位置付けられている。実証後は結果を市場関係者に共有し、この実証ではODXはオブザーバーとして参加しており、将来的には、ODXが運営するST二次流通市場「START」を含む複数の市場・プラットフォームでの活用を視野に入れて検討が進められている。
参考:発表
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