ゴールドマンとBNY、トークン化マネーマーケットファンドをローンチ

ゴールドマンとBNYがトークン化MMFローンチ

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)とバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン:Bank of New York Mellon)が、マネー・マーケット・ファンド(MMF)の株式を反映したデジタルトークンを共同で立ち上げ、ウォール街におけるブロックチェーン技術を伝統的金融に導入する動きを加速させている。

両社によれば、投資家はBNYメロンの流動性管理プラットフォーム「リクイディティ・ダイレクト(LiquidityDirect)」でMMFの株式を売買できるという。また、その取引記録はゴールドマン・サックスのブロックチェーン基盤「GS DAP」上にデジタル証票として作成される仕組みだ。

この取り組みは、金融エコシステム全体を支えるインフラの近代化に向けた最初のステップとなる。広く採用されれば、機関投資家がMMFを担保として利用する際の手続きが簡素化・高速化し、決済までの時間短縮も期待できる。

初期導入企業として、ブラックロック(BlackRock)、BNYメロン・インベストメンツ・ドレイファス(BNY Investments Dreyfus)、フェデレーテッド・ハーミーズ(Federated Hermes)、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(Goldman Sachs Asset Management)が参加している。

トークン化は他の運用会社でも検討が進む。1月にはアポロ(Apollo)がセキュリタイズ(Securitize)と提携し、暗号資産投資家から同社のグローバル・クレジットファンドへ資金を誘導するフィーダーファンドを立ち上げた。

トークン化が投資環境を根本的に変革し得るという、その可能性は依然として議論の対象だ。しかし、市場関係者の関心は高い。その支持者らは、トークン化が従来の金融とデジタル金融を橋渡しする次のブレークスルーとし、長らく個人投資家には手の届きにくかった資産クラスへのアクセス拡大につながる可能性があると主張する。

暗号資産投資会社コインファンド(CoinFund)の社長クリス・パーキンス氏は「私たちは市場の民主化という非常に特別なことを実現する瀬戸際に立っている」と述べた。

こうしたトークン化への関心の高まりは、ここ数カ月の暗号資産市場の回復基調とも重なる。今月上旬に「ジーニアス法案(Genius Act)」が成立して以降、業界には再び楽観的な見方が再燃している。

一方では批判的な見方もある。トークン化によって企業が個人投資家保護のための規制網を回避する恐れがあるという指摘だ。

また、企業側が自社証券のトークン化に同意しない可能性もある。今月初め、オープンエーアイ(OpenAI)はロビンフッド(Robinhood)が自社の未公開株に連動させたトークンを発行したことに対し異議を唱えたばかりである。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Goldman, BNY team up to launch tokens tied to money market funds
(Reporting by Niket Nishant in Bengaluru; Editing by Shilpi Majumdar)
参考:BNYメロン
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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