ソニー銀行が金融機関における独自ブロックチェーン活用に関する実証実験
ソニー銀行が、規制に準拠したシームレスなweb3サービスの提供に向けた専用ブロックチェーンの活用に関する実証実験を開始することを6月26日に発表した。
なお同実証実験にあたりソニー銀行は、CauchyEの提供する「MyLayer Prototypingプログラム」に採択されている。CauchyEは、モジュラービリティに特化したブロックチェーン「Sunrise(サンライズ)」開発元だ。
発表によると今回の実証実験では、金融機関における規制遵守や利用者保護を目的に、専用ブロックチェーンの活用の可能性に関する検討を行うとのこと。
具体的に同実証実験は、金融機関における独自(専用)ブロックチェーン活用に関する技術的および法的課題の洗出し(Sovereign Rollupの活用やForce Txを防ぐアーキテクチャの検討など)を行う他、ステーブルコインの利活用に特化した独自チェーンの実現をテーマに行うとのこと。
またこの独自チェーンについては、Sony Block Solutions Labs(ソニーブロックソリューションラボ:Sony BSL)開発のブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」との連携を含む相互運用性の実現、「Sunrise」の流動性活用を含む、金融機関などによる顧客へのDeFi(分散型金融)の提供にむけた論点の検討も行われるとのこと。これには「Sunrise」のProof of LiquidityメカニズムとDAインフラストラクチャが活用される。
さらに今回の実証実験の対象とする独自チェーンについては、ソニー銀行のweb3エンターテインメント領域向けアプリ「Sony Bank CONNECT」との連携も見据え、共に検討を深めるという。
同アプリは、ソニー銀行がWeb3におけるクリエイター・ファン層で構成される経済圏の拡大に向けて展開中。ソニーグループ100%出資のNFTの購入・管理ができるマーケットプレイス「SNFT(エスエヌエフティー)」と接続することで、NFTコレクションの閲覧が可能だ。
なお前述にあるSovereign Rollupは、データの順序付けと可用性は外部のチェーンに依存し、トランザクションの検証やファイナリティ判定を自チェーン内で完結するロールアップ(スケーリングソリューション)のこと。またForce Tx(Forced Transaction)は、シーケンサーが意図的に取引を排除(検閲)するケースにおいて、ユーザーがそれを回避し強制的にL1で取引実行を要求できる仕組みのこと。
またProof of Liquidity(PoL)は、流動性提供(Liquidity)を担保としたコンセンサスメカニズム。「Sunrise」では、トークンを提供することでガバナンストークン「vRISE」を付与し、ガバナンス参加や報酬が得られる。これによりネットワーク全体の経済循環が回り、セキュリティと価値創造が流動性で支えられる仕組みとなってる。そしてDAインフラストラクチャは、データ可用性を担保するレイヤーのこと。
ソニー銀行は5月28日、web3関連事業を営む100%出資子会社の設立を発表している。新会社設立の目的は、「ファンとアーティスト、デジタルとフィジカル、法定通貨とデジタル資産がつながる世界を利用者へ提供し、web3時代における新たな感動体験と利用者や事業者にとっての収益機会を提供すること」だという。
新会社の設立は6月が予定されており、今年の秋頃より事業開始となるようだ。
— Sunrise (@SunriseLayer) June 26, 2025
参考:ソニー銀行
画像:PIXTA