欧州中央銀行理事がデジタル決済革命やデジタル・ユーロに関する意見を表明

欧州中央銀行理事がデジタル決済革命やデジタル・ユーロに関する意見を表明

欧州中央銀行(ECB)の理事であるファビオ・パネッタ(Fabio Panetta)氏がステーブルコイン、デジタル決済、デジタル・ユーロに関するスピーチを11月27日にブンデス銀行主催のオンラインカンファレンスで行った

ファビオ・パネッタ氏は「デジタル・ユーロは、デジタル決済手段の効率性と中央銀行の貨幣の安全性を兼ね備えたものになるでしょう。デジタル・ユーロは現金に取って代わるものではなく、現金を補完するものとなるでしょう。これら2種類の通貨が一緒になれば、すべての人が利用できるようになり、選択肢が広がり、シンプルでコストのかからない支払い方法へのアクセスが可能になります」と語っている。

現在、欧州中央銀行やヨーロッパの各国中央銀行はデジタル・ユーロ発行に向けて主に4つの項目について調査している状態のようだ。その4つの項目とは「(1)中央銀行のリアルタイムの少額決済を利用目的とする決済システムTIPS(TARGET Instant Payment Service)が数億人規模の顧客を抱えるシナリオへのサポート可能性、(2)中央集権システムと分散型台帳技術(DLT)の間の相互運用性、 (3)電子的なアイデンティティを持つ決済専用ブロックチェーンの利用可能性、(4)プライバシーを保証するオフライン取引のための適切なハードウェアデバイスの検討」である。

結論としてファビオ・パネッタ氏は「デジタルトランスフォーメーションは金融セクターに革命を引き起こしており、それはイノベーションをもたらすが、同時にリスクももたらすでしょう。特にビッグテック企業やステーブルコインは欧州の金融システムを混乱させる可能性があります。そしてそれらは便利で効率的な決済ソリューションを提供する一方で、競争、プライバシー、金融の安定性、さらには金融主権をも脅かすリスクがあります。私たちの政策はデジタル危機に対する強力な政策反応を提供するものです。私たちは欧州の人々や企業の進化するニーズによりよく応えることができる、弾力性があり、革新的で多様性に富み、競争力のある決済環境のための条件を創出したいと考えています。私たちは安全で汎欧州のインスタント・ペイメントシステムを推進しています。危機に瀕しているのは、貨幣の未来に他なりません。プライベートマネーがデジタル化する中で、国家の通貨も再発明する必要があります。そのためには中央銀行の資金があらゆる状況下で利用可能な状態を維持する必要があります 。もちろん現金の形ではありますが、デジタル・ユーロとしての可能性もあります。私たちは人々が迅速で安全、包括的でシームレスな支払いへの期待に妥協することなく、自分の好みの支払い方法を選択できるようにしたいと考えています。これが現在の私たちの目標であり、今後も私たちの目標であり続けるでしょう」と述べている。

編集部のコメント

ファビオ・パネッタ氏は欧州全体の現状の課題として、欧州のカード決済市場は欧州以外のグローバル企業のカードスキームに支配されていることを挙げています。欧州ではカード取引やオンライン決済などの一部のセグメントでは市場が高度に集中しており、外国のプロバイダーへの依存度が高まっている状態のようです。つまり現在欧州の消費者は非競争的な価格設定にさらされる可能性を秘めており、決済システムの回復力が低下し、欧州当局が決済プロセスのコントロールを行使する能力が弱まる可能性も存在しています。このような危機に対して、欧州中央銀行らはデジタル・ユーロの発行と流通が改善策になるのではないかと考えているようです。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/Who_I_am・jauhari1・bakhtiar_zein)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

ブロックチェーン、仮想通貨(暗号通貨)、トークンエコノミー、評価経済、シェアリングエコノミーなどの「あたらしい経済」をテーマにしたWEBメディアです。「あたらしい経済」モデルやそこでの稼ぎ方、そこで未来を切り開く人々のエピソード、あたらしい時代における働き方や学ぶべきことなどを、紹介します。これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

ブロックチェーン、仮想通貨(暗号通貨)、トークンエコノミー、評価経済、シェアリングエコノミーなどの「あたらしい経済」をテーマにしたWEBメディアです。「あたらしい経済」モデルやそこでの稼ぎ方、そこで未来を切り開く人々のエピソード、あたらしい時代における働き方や学ぶべきことなどを、紹介します。これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

米議事堂襲撃事件/過激派団体への28.15BTCのビットコイン寄付が関与か、ジェミナイがビットコインのリワードを搭載のクレジットカード発売などのブロックチェーン・仮想通貨ニュース解説

米議事堂襲撃事件、過激派団体への28.15BTCのビットコイン寄付が関与か(ブロックチェーン分析企業チェイナリシスのレポート)、米暗号資産(仮想通貨)取引所のジェミナイ(Gemini)がビットコインのリワードを搭載した「ジェミナイ・クレジット・カード(Gemini Credit Card)」を発売することを発表、英イートロ(eToro)が今週末の暗号資産(仮想通貨)の買い注文を制限する可能性を顧客へ通知、米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「CBDC(中銀デジタル通貨)は慎重に検討」「ステーブルコインの規制は優先度が高い」と発言、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)がデジタル資産上場プロセス合理化のための新サービス発表、LayerXがエンタープライズ向けブロックチェーン基盤Corda(コルダ)、Hyperledger Fabric(ハイパーレジャーファブリック)、Quorum(クオーラム)の比較レポート「プライバシー編」公開

米暗号資産(仮想通貨)取引所のジェミナイ(Gemini)がビットコインのリワードを搭載した「ジェミナイ・クレジット・カード(Gemini Credit Card)」の発売することを発表

米暗号資産(仮想通貨)取引所とカストディアンを運営するジェミナイ(Gemini)がビットコインのリワードを搭載したクレジットカード「ジェミナイ・クレジット・カード(Gemini Credit Card)」の発売を1月14日に発表した

英イートロ(eToro)が今週末の暗号資産(仮想通貨)の買い注文を制限する可能性を顧客へ通知

オンライントレードプラットフォーム提供の英イートロ(eToro)が、同社のユーザーに対し「今週末の暗号資産(仮想通貨)の買い注文を制限する必要があるかもしれない」とメールにて通知を行ったことが1月14日ブルームバーグの報道で明らかになった

LayerXがエンタープライズ向けブロックチェーン基盤Corda(コルダ)、Hyperledger Fabric(ハイパーレジャーファブリック)、Quorum(クオーラム)の比較レポート「プライバシー編」公開

株式会社LayerXが同社独自のブロックチェーン基盤分析フレームワークである「LayerX Enterprise blockchain Analysis Framework(LEAF:リーフ)」において、エンタープライズ向けブロックチェーン基盤比較レポート「プライバシー編」を公開したことを1月14日発表した

欧州中央銀行総裁がG7G20規模でビットコイン規制要求、グレースケールがXRP投資信託を廃止、金融庁が「リップルは資金決済法で暗号資産」などのブロックチェーン・仮想通貨ニュース解説

欧州中央銀行ラガルド総裁がG7、G20規模でのビットコインへの規制を要求、米資産運用会社グレースケール(Glayscale)がリップル(XRP)訴訟問題を受けXRP投資信託の廃止決定、日本の金融庁「リップル(XRP)は資金決済法で暗号資産である(有価証券ではない)」と米国メディアTHE BLOCKへ回答、米デジタル資産カストディ企業アンカレッジが初の連邦認可のデジタルバンクへ、米ウェブインフラ企業クラウドフレアー(Cloudflare)がENSとパートナーシップ締結、企業間情報連携推進コンソーシアム「NEXCHAIN(ネクスチェーン)」が賃貸入居プロセスのワンストップサービス開始