ポリマーケットがProtocol V2へ刷新
予測市場プラットフォームのポリマーケット(Polymarket)が、次世代の予測市場向けスマートコントラクトシステム「ポリマーケット・プロトコルV2(Polymarket Protocol V2)」の本番環境への段階的な導入を開始した。10月5日に発表された。同日から10月30日まで一部の市場でV2を先行運用し、新規市場については11月2日にV2へ切り替えることを暫定的に予定している。
ポリマーケットは、選挙や経済、スポーツなど将来の出来事について、その結果に対応するポジションを売買できる予測市場を提供している。例えば、ある出来事が「起きる」「起きない」の二択を予測する市場では、それぞれの結果に対応するポジションがトークンとして発行される。市場の結果が確定すると、正しい結果のポジションは1ドル相当で償還でき、誤った結果のポジションは価値を失う仕組みだ。
ポリマーケットがこれまで、こうしたポジションの発行や管理の基盤として利用してきたのが「コンディショナル・トークンズ・フレームワーク(Conditional Tokens Framework:CTF)」だ。CTFはノーシス(Gnosis)が2019年に開発した、特定の条件の結果に応じて価値が決まるトークンを扱うための汎用的なフレームワークとなる。
ポリマーケットによると、CTFは現在の同社のサービスを想定して設計されたものではない。そのため、新たな市場タイプや機能を追加するたびに、別のコントラクトやアダプターなどを追加する必要があったとのことだ。例えば、担保資産「pUSD」に対応するアダプターや、新たな市場タイプに対応する取引コントラクトなどを追加してきた。この結果、機能が増えるほど開発や外部サービスとの統合が複雑になる構造となっていた。
これに対しProtocol V2では、予測市場のポジションを表すトークンから基盤を再構築した。具体的には、複数の市場タイプのポジショントークンを、ERC-1155規格に基づく一つの共通コントラクトで管理する。これに1種類の担保資産「pUSD」、すべての市場タイプに対応する一つの取引所、処理を適切なコントラクトへ振り分ける一つのルーターを組み合わせる。
pUSDは、ポリマーケットの取引で担保として利用されるトークンだ。なお、pUSDはProtocol V2で新たに導入されたものではなく、ポリマーケットが今年4月に取引コントラクトやオーダーブックを刷新した際に導入した。pUSDは米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」に1対1で裏付けられている。
またポリマーケットはProtocol V2に、複数の市場タイプに対応するモジュール型の設計を採用した。当初は「バイナリー(Binary)」「アトミック・ネガティブリスク(Atomic Neg-risk)」「インクリメンタル・ネガティブリスク(Incremental Neg-risk)」「コンビナトリアル(Combinatorial)」の4種類に対応する。さらに各ポジションのIDには、市場タイプ、市場、結果の情報が含まれ、プロトコルがこれらを直接識別できる設計となっている。
市場結果の確定には、新たな「オラクル・アグリゲーター(OracleAggregator)」を導入する。オラクルは、予測対象となった出来事の結果をブロックチェーンに反映し、市場の結果確定に用いる仕組みだ。V2では、このオラクルへの接続をオラクル・アグリゲーターにまとめ、UMAやチェーンリンク(Chainlink)をはじめ、複数の結果確定手段に接続できる。
またプロトコル全体は、ガバナンスプロセスを通じてアップグレードできる設計となっている。ポリマーケットはこれにより、既存のインテグレーションやユーザーへの影響を抑えながら、プロトコルの保守や新機能の追加を行えると説明している。
さらにProtocol V2は、将来のマルチチェーン展開にも対応できるよう設計されている。現在ポリマーケットはポリゴン(Polygon)を基盤としているが、V2にはポジションや担保資産、市場の確定結果をブロックチェーン間で移動するための仕組みが組み込まれている。ただし、このブリッジ機能は現時点では有効化されておらず、提供時期や対応するブロックチェーンも明らかにされていない。
一方、既存のCTFポジションはV2へ変換されない。また既存のインテグレーションは、V2への対応後も引き続きCTFへの対応を維持する必要がある。このため、今回の移行では既存市場を一斉にV2へ切り替えるのではなく、新規市場から段階的にV2を導入する形となる。
今回のリリースに合わせ、ポリマーケットは「ポリマーケット・データAPI V2(Polymarket Data API V2)」も導入した。同APIは、同社が開発したブロックチェーン上のデータを収集・整理するオンチェーンインデクサーを利用する新たなサービスだ。Protocol V2に対応するほか、APIのレスポンス形式を標準化している。
セキュリティ面では、Protocol V2のコードについてカンティーナ(Cantina)、サートラ(Certora)、クオンツスタンプ(Quantstamp)、シグマプライム(SigmaPrime)、ゼリック(Zellic)、パショフ(Pashov)などによる監査を実施したとのことだ。またサートラによる形式検証も実施しており、重大な脆弱性の発見に対して最大500万ドルの報奨金を提供するバグバウンティプログラムも設けている。
Introducing Polymarket Protocol V2 https://t.co/FDzaZyiPnl
— Rajath Alex (@0xrajath) October 5, 2026