ブロック生成・検証の仕組みを変更、メインネット実施日は未定
イーサリアム(Ethereum)の次期大型アップグレード「グラムステルダム(Glamsterdam)」が、テストネット「セポリア(Sepolia)」で10月6日13時53分36秒(UTC、日本時間同日22時53分36秒)に有効化された。ブロックチェーン開発基盤を提供するアルケミー(Alchemy)が同日、公式ブログで報告した。
セポリアは、開発者がアプリケーションやスマートコントラクトを試すためのテストネットだ。イーサリアム財団は9月28日、同ネットワークでのグラムステルダムの実施予定を公表していた。
今回のセポリアでの検証では、1ブロックあたり2億ガスのガスリミットを目標とする。ガスは、取引やスマートコントラクトの処理量を測るための単位だ。ガスリミットは、1ブロックに含められる処理量の上限を示す。開発者らは、処理容量の拡大に各クライアントが対応できるかを検証する。
ただし、2億ガスはバリデーターが設定する目標・推奨値であり、有効化の瞬間に全ブロックの上限が一律2億ガスに切り替わるわけではない。実際のガスリミットは、バリデーターの設定などを反映し、ブロックごとに段階的に変わる仕組みだ。
有効化に先立ち、イーサリアムの合意形成を担うコンセンサス層のクライアントソフト「プリズム(Prysm)」の開発チームは、10月5日(UTC、日本時間10月6日)に「v7.2.1」を公開した。同バージョンでは、セポリアでの有効化後に使うガスリミットのデフォルトの目標値を2億ガスとする設定が追加された。前バージョン「v7.2.0」では、運用者が変更しない限り6,000万ガスが設定される仕様だった。
この更新は、容量拡大テストに合わせて、バリデーターの目標値を自動で切り替えるための修正となる。v7.2.0のまま設定を変更しない場合、従来の6,000万ガスを目標に動作するため、2億ガスでの検証に影響する可能性があった。なお、運用者が個別に設定したガスリミットは、新バージョンでも維持される。
グラムステルダムは、取引やスマートコントラクトを処理する実行層の「アムステルダム(Amsterdam)」と、コンセンサス層の「グロアス(Gloas)」を組み合わせたアップグレードだ。主な変更点は、ブロックを生成・検証する仕組みの見直しとなる。
その1つが、ブロックを組み立てる「ビルダー」と、ブロックを提案する「プロポーザー」の役割分離をプロトコルに組み込む「ePBS(EIP-7732)」だ。両者間の報酬の支払いをプロトコルで扱うことで、外部の仲介基盤への依存を減らす。また、合意形成に関する検証と取引実行に関する検証を分離し、バリデーターが取引の実行結果を検証する時間を確保する。
もう1つは「ブロックレベル・アクセスリスト(BALs:EIP-7928)」の導入だ。ブロックの処理でアクセスしたアカウントや保存領域、処理後の変更内容を記録する。各クライアントはこの情報を使い、データの読み出しや取引の検証などを並列に進められる。
さらに、コントラクトの作成や新たな保存領域の確保など、チェーン上に新しい状態(ステート)を作成する処理のガスコストを引き上げ、実行処理とは分けて計測する「EIP-8037」も含まれる。処理容量を拡大した際に、ノードが管理する状態データが過度に増えることを抑える狙いがある。イーサリアム財団は、固定のガス量などを前提としたアプリケーションについて、新しいルールに対応できるか確認するよう求めている。
なお、今回の有効化はセポリアが対象だ。本稿執筆時点で、テストネット「フーディ(Hoodi)」とイーサリアムのメインネットでの実施日は決定していない。フーディは、主にバリデーターの運用やステーキング関連機能、ネットワークのアップグレードを検証するためのテストネットだ。イーサリアム財団は、これらへのグラムステルダム有効化の日程が決まり次第、別途発表するとしている。
🚀 Glamsterdam is live on Sepolia! Another Ethereum upgrade, with 18 Core + 7 Other EIPs, is now live on the Sepolia public testnet. A powerful demonstration of Ethereum’s public-goods infrastructure – open for projects, developers, and infrastructure providers to test compatibility with upcoming mainnet changes. Time to test! #Ethereum #Glamsterdam #Sepolia
— Pooja Ranjan | ranjan.eth (@poojaranjan19) October 6, 2026
参考:EF・Prysm:公式リリースノート・アルケミー
画像:iStocks/PIXTA