レボリュートが自社ブランドのステーブルコイン展開
英フィンテック企業のレボリュート(Revolut)が、自社ブランドのユーロ連動型ステーブルコイン「EURR」の段階的な提供を開始したと8月26日に発表した。
EURRはイーサリアム(Ethereum)およびポリゴン(Polygon)上で展開され、デンマーク、ポーランド、ポルトガルの対象顧客への提供が開始されている。対象地域は今年後半に拡大する予定だ。
レボリュートは、決済や外国為替、暗号資産(仮想通貨)などの金融サービスをアプリを通じて提供するフィンテック企業だ。現在は世界で8,000万人超の個人顧客を抱える。
今回提供されるEURRは、1ユーロの価値を安定的に維持するよう設計されたステーブルコインだ。レボリュートのサービスに統合され、法定通貨や暗号資産、外部ウォレット、対応するブロックチェーンネットワーク間で資金を移動するためのオンチェーンの選択肢を提供する。
レボリュートはEURRを提供する背景について、現在流通するステーブルコインの多くが米ドルに連動している一方、同社では数百万人の顧客がユーロで収入を得て、貯蓄や支出を行っていると説明している。
ユーロを普段利用する顧客が米ドル建てステーブルコインを保有した場合、その価値は米ドルに連動するため、ユーロに対する米ドルの為替変動の影響を受ける。一方、EURRは1ユーロの価値を維持するよう設計されている。
このためレボリュートは、EURRを利用する顧客がブロックチェーン上で資金を利用するためだけに、米ドルへの為替エクスポージャーを持つ必要がなくなると説明している。
対象顧客はユーロをEURRへ交換することで、ユーロ建ての価値をブロックチェーン上で保有し、外部ウォレットへ送金できる。レボリュートはEURRについて、法定通貨とブロックチェーンネットワーク間の資金移動を容易にするよう設計したと説明している。
同社は、デジタル資産が金融の主流に入りつつある中、ステーブルコインを自社プラットフォームへ統合することを「国境のない資金ネットワーク」を構築するための次の段階と位置付けている。
EURRは、レボリュートによるステーブルコイン展開の最初の段階となる。同社はすでに、他の法定通貨に連動するステーブルコインをそれぞれの規制上の手続きを通じて開発している。
なお、レボリュートを巡っては、2024年9月に独自ステーブルコインの発行計画が報じられていた。その後もステーブルコイン開発を進めていることが度々報じられており、今回EURRの提供が実現した。
また今年2月には、英金融行為監督機構(FCA)が実施するステーブルコイン規制のサンドボックス検証プログラムの参加企業にも選定されている。
EURRの発行はストライプ傘下ブリッジが担当
EURRを発行するのはレボリュート自身ではなく、米決済大手ストライプ(Stripe)傘下のステーブルコインインフラ企業ブリッジ(Bridge)のルクセンブルク法人ブリッジ・ビルディング(Bridge Building S.A.:BBSA)だ。
ブリッジは、企業によるステーブルコインを利用した金融サービスの構築を支援するインフラを提供している。ストライプは2025年2月にブリッジの買収を完了した。
EURRはBBSAが発行し、レボリュートブランドのステーブルコインとして提供される。一方、レボリュート顧客向けのEURRの提供は、同社の暗号資産関連法人レボリュート・デジタル・アセッツ・ヨーロッパ(Revolut Digital Assets Europe Ltd:RDAEL)が担う。EURRのホワイトペーパーでは、BBSAとRDAELがEURRを一般向けに提供する主体として記載されている。
EURRは、欧州連合(EU)の暗号資産市場規則(Markets in Crypto-Assets Regulation:MiCA)上の電子マネートークン(EMT)に分類される。
MiCAは、EU域内における暗号資産の発行や暗号資産サービスの提供などについて統一的な規制枠組みを定めた規則だ。このうちEMTは、ユーロなど単一の法定通貨の価値を参照することで価値の安定を図る暗号資産として位置付けられている。
EURRの発行体となるBBSAは、ルクセンブルク金融監督委員会(Commission de Surveillance du Secteur Financier:CSSF)の認可・監督を受ける電子マネー機関(EMI)および暗号資産サービスプロバイダー(CASP)だ。またRDAELは、MiCAに基づくCASPとしてキプロス証券取引委員会(CySEC)の認可を受けている。
EURRのMiCAホワイトペーパーによると、BBSAは流通するEURRについて、1EURRにつき1ユーロまたは同額のユーロ建て資産を準備資産として保有する。準備資産はBBSAの自己資金とは分離され、規制対象の金融機関に開設した分別口座で管理される。
また、流通するEURRと同額以上の準備資産が保有されていることを会計事務所が毎月確認するとのことだ。EURR自体は、保有者に利息やその他の収益を提供するようには設計されていない。
EURRの保有者は原則として、いつでも額面でユーロへ償還する権利を持つ。つまり保有するEURRについて、同額のユーロへの払い戻しを発行体のBBSAに求められる仕組みだ。実際の償還には、本人確認やマネーロンダリング対策(AML)に関する確認など所定の手続きが必要となる。
今回の段階的な提供では、EURRはイーサリアム上で展開される。一方、EURRのMiCAホワイトペーパーでは、オプティミズム(Optimism)、アービトラム(Arbitrum)、ソラナ(Solana)、インジェクティブ(Injective)、アバランチ(Avalanche)、トン(TON)、スイ(Sui)など複数のブロックチェーンへの対応が記載されている。
BBSAは今後、さらに対応ブロックチェーンを追加する方針だ。
We’re rolling out EURR, our first euro-backed stablecoin, in the Revolut app. pic.twitter.com/UVcns1mytF
— Revolut (@Revolut) August 26, 2026