新韓資産運用社、ソラナ財団らとMOU。韓国ウォン建てトークン化ファンドを技術検証

韓国ウォン建てトークン化ファンドを技術検証

韓国の新韓資産運用(Shinhan Asset Management)が、ソラナ財団(Solana Foundation)、トークン化資産の発行プラットフォームを提供するイーサフューズ(Etherfuse)、ソラナ基盤の分散型取引所(DEX)オルカ(Orca)と、韓国ウォン(KRW)建てトークン化ファンドに関する4者間の業務提携(MOU)を締結した。新韓資産運用が8月21日に発表した。

今回のMOUでは、韓国ウォン建てトークン化ファンドについて、発行から流通までの一連の仕組みを共同で技術検証(PoC)する。

ソラナ公式Xも同日、今回の取り組みについて、新韓資産運用がブラックロック(BlackRock)のトークン化ファンド「BUIDL」をモデルとして、ソラナ上での韓国ウォン建てトークン化ファンド構築に向けた技術検証を進めるとポストした。

今回検証される仕組みでは、新韓資産運用が運用する韓国ウォン建ての超短期債ファンドを海外の機関投資家が購入し、そのファンド持分をトークンとして発行・流通させることを想定する。

新韓資産運用は今回の取り組みについて、ブラックロックが「BUIDL」で展開するデジタル金融商品のモデルを韓国ウォン建て資産に応用するための第一歩と説明している。

「BUIDL」は、ブラックロックが2024年3月にローンチしたトークン化ファンドだ。

今回のMOUでは、新韓資産運用が資産運用および韓国国内の規制対応に関する専門性を提供する。

またソラナ財団はソラナのブロックチェーンインフラおよびエコシステムに関する技術面を支援し、イーサフューズはトークン化資産の発行・管理インフラを支援する。オルカはファンドトークンの流通・交換を想定したオンチェーン流動性の設計を支援するという。

4者はこの仕組みを前提として、顧客確認(KYC)やマネーロンダリング対策(AML)、ブロックチェーンの運用方式、セキュリティ監査、外国為替関連法令などの規制遵守要件、オンチェーン流動性の設計などを共同で検証する予定だ。

新韓資産運用のイ・ソクウォン代表取締役は、グローバルパートナーとともに韓国ウォン建てデジタル商品の発行・流通構造を実証するとコメント。関連制度の施行に合わせて稼働できる検証済みの能力を先行して確保し、韓国ウォンを基盤とするデジタル金融商品の運用市場をリードすることが目標だと説明している。

なお今回のMOUは、各社の協力意思を確認する非拘束的な協定となる。

また検証対象となる仕組みは海外市場を前提とした技術検証に限定され、韓国国内でトークン化ファンドを直ちに販売・流通させるものではない。

新韓資産運用は、韓国国内のトークン証券関連制度が施行されるまではインフラ整備や技術検証を中心に取り組み、今後は関連法令や金融当局の方針に従って、実際の商品化について検討する方針だという。

今回の取り組みの背景には、韓国で進むトークン証券(STO)の法整備がある。

韓国国会は今年1月15日、トークン証券の発行・流通に関する法的枠組みを整備する「電子証券法」および「資本市場法」の改正案を可決した。

両改正法は2月3日に公布され、トークン証券制度に関する主要規定は2027年2月4日に施行される予定だ。

新韓資産運用は今回のMOUを、同制度の施行後に想定されるトークン証券市場への対応に向けた準備段階として位置付けている。

なお新韓資産運用は8月14日、RWA(現実資産)特化型ブロックチェーンのプルーム(Plume)とも、韓国ウォン建てトークン化ファンドの実証に向けたMOUを締結している。

プルームとの取り組みについても、ブラックロックの「BUIDL」をベンチマークとし、海外市場を想定したトークン化ファンドの仕組みを検証するものとなっている。

新韓資産運用が短期間にソラナとプルームの双方でPoCを進めていることから、現段階では特定のブロックチェーンに限定せず、複数の技術・流通モデルを検証しているとみられる。

またソラナ公式Xは今回の発表に際し、ステーブルコインを除くトークン化されたRWA市場が約360億ドル(約5.7兆円)規模に達していると説明した。なお、根拠となったRWA.ioのレポートでは、同市場を2025年11月時点で362.7億ドルとしている。

同投稿は、2030年に同市場が最大30兆ドル(約4,769兆円)規模へ拡大するとの予測を、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によるものとしている。ただしRWA.ioのレポートでは、約16兆ドルの予測はBCGとADDX、最大30兆ドルの予測はセキュリティ・トークン・マーケット(Security Token Market:STM)を出典としている。このため、ソラナの投稿は予測の出典を混同しているとみられる。

なおBCGとADDXが2022年に公表したレポートでは、2030年の資産トークン化の事業機会を16.1兆ドル(約2,559兆円)と予測しており、ベストケースでは68兆ドル(約1京809兆円)規模になる可能性が示されている。ただし、現在のオンチェーンRWA市場とは対象範囲や算出方法が異なるため、単純比較には注意が必要だ。

なお新韓資産運用は、新韓金融グループ傘下の資産運用会社。同社公式サイトによると、2025年12月末時点の運用資産は約133.6兆ウォン(約15.3兆円)とされている。

なおイーサフューズは今年1月、新韓金融グループ傘下の新韓証券(Shinhan Securities)とも、トークン化国債の機関投資家向け展開に向けた戦略的パートナーシップを締結している。 

参考:報道
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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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