香港がステーブルコイン発行ライセンス制度を導入へ
香港上海銀行(HSBC)とスタンダードチャータード銀行(Standard Chartered)が、香港で導入予定のステーブルコイン発行ライセンス制度において、最初の認可取得先の一部となる見通しだ。「ブルームバーグ(Bloomberg)」が3月13日に報じた。
香港では現在、ステーブルコイン発行体を認可制とする新たな制度の整備が進められている。同制度では、香港ドルなどの法定通貨に連動するステーブルコインを発行する場合、香港金融管理局(HKMA:Hong Kong Monetary Authority)のライセンス取得が必要となる。
HKMA総裁のエディー・ユー(余偉文:Eddie Yue)氏は今年2月、立法会での発言において、ステーブルコイン発行者ライセンスの第1陣を3月に付与する見通しを示している。当初の認可は「非常に少数」に限定される予定だという。
同氏は、審査ではステーブルコインの活用事例やリスク管理、マネーロンダリング対策、裏付け資産などが重点的に評価されると説明した。また、ライセンス取得事業者は国境をまたぐ事業活動において各国の規制を順守する必要があり、将来的には他国との相互承認の枠組みを検討する可能性もあると述べた。
報道によると、HKMAは制度の初期承認において、香港で紙幣発行を認められている銀行を優先する方針だという。HSBCとスタンダードチャータードはその条件に該当しており、最初の認可グループに含まれる可能性が高いとされている。
両行は香港で紙幣発行を担う銀行として知られている。関係者によると、HKMAは資本力のある銀行が発行主体となることで、安全性を確保しながらステーブルコインの普及を促進できるとみているという。
スタンダードチャータードはこの件についてコメントを控えており、HSBCは取材要請に直ちには応じなかった。HKMAも市場のうわさについてはコメントしないとしている。
なお、香港政府は2022年以降、暗号資産(仮想通貨)関連の規制整備を進めており、暗号資産取引所のライセンス制度を導入するなど、デジタル資産ハブの構築を目指している。ステーブルコイン発行体の認可制度も、その取り組みの一環として位置付けられている。
また香港では2024年、ステーブルコイン発行体向けのサンドボックス制度が開始されている。この枠組みには、スタンダードチャータード、アニモカブランズ(Animoca Brands)、香港テレコミュニケーションズ(Hong Kong Telecommunications)による合弁企業のほか、ジンドンコインリンクテクノロジー(Jingdong Coinlink Technology)などが参加している。
香港の政策担当者は、ステーブルコイン発行ライセンスについて当初は「少数」の発行体に限定する方針を示している。実際のユースケースの存在や持続可能なビジネスモデル、規制順守体制などが審査の重要な要素になるとされている。
HKMA総裁のユー氏によると、同制度には36件の申請が提出されているという。
参考:ブルームバーグ
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