アバランチトレジャリーが米ナスダックにSPAC上場へ、10億ドル超の「AVAX」保有に向け

Avalanche TreasuryがSPAC上場へ

アバランチトレジャリー(Avalanche Treasury:AVAT)が、SPAC(上場特別目的買収会社)のマウンテンレイクアクイジション(Mountain Lake Acquisition)と、最終的な事業統合契約を締結したと10月1日に発表した。

契約規模は6億7,500万ドル(約991億円)超で、その中には株式の私募増資を通じて確保される約4億6,000万ドル(約675億円)のトレジャリー(財務資産)が含まれるとのこと。AVATは、SPACとの統合を経て新会社として上場した後に、10億ドル(約1,466億円)超の暗号資産(仮想通貨)アバランチ(AVAX)の保有を目標に掲げている。

私募増資には、ドラゴンフライキャピタル(Dragonfly Capital)、パラファイキャピタル(ParaFi Capital)、ヴァンエック(VanEck)、ギャラクシーデジタル(Galaxy Digital)、パンテラキャピタル(Pantera Capital)、クラーケン(Kraken)などの機関投資家や暗号資産関連企業が参加しているという。

なお事業統合後の新会社は、規制当局および株主の承認を前提に2026年第1四半期に米ナスダック(Nasdaq)上場が予定されている。さらに、ファルコンX(FalconX)は新会社の取引執行およびクレジット(与信)サービスを提供し、モナーク(Monarq)はAVATの資産運用者(アセットマネジャー)としてトレジャリー運営に関与するという。

また新会社は、事業統合の取引完了後にアバランチエコシステム内での戦略的投資を実行し、バリデータインフラの整備を開始する計画だ。

発表によると、AVATはレイヤー1ブロックチェーン「アバランチ(Avalanche)」を支援する非営利団体アバランチ財団(Avalanche Foundation)と独占関係を結んでいるという。これによりAVATは今回の発表に伴い、市場価格に比べて割引された条件で、AVAXの初回購入を開始したとのこと。

またAVATは、アバランチ財団が米国のデジタル資産トレジャリー企業向けに行うAVAX販売に対し、18カ月間の優先的アクセス権を有している。これにより投資家は、AVATを通じてNAV(純資産価値)の0.77倍で同社への投資に参入できるという。これは、AVAXの直接購入やETF(上場投資信託)を通じて取得する場合と比べて、約23%割安な条件投資とされている。

またAVATは、アバランチエコシステムの基盤的パートナーとして、機関投資家向けの主要投資ビークルになることを目指すという。その戦略では、プロトコル投資やRWA(現実資産)・ステーブルコイン・決済のオンチェーン基盤を構築する企業とのパートナーシップ活性化、機関向けレイヤー1ブロックチェーン立ち上げを、バリデータ資源と流動性の提供によって支援するとのこと。

なお事業統合後の体制では、アバラボ(Ava Labs)創設者エミン・ギュン・シラー(Emin Gün Sirer)氏が新会社の戦略顧問を務める。また、アバラボCOOジョン・ナハス(John Nahas)氏が、新会社の取締役会に加わるという。

さらに新会社の諮問委員には、ドラゴンフライキャピタルのマネージングパートナーであるハシーブ・クレシ(Haseeb Qureshi)氏、ブロックワークス(Blockworks)CEOジェイソン・ヤノウィッツ(Jason Yanowitz)氏、アーベ(Aave)創設者スタニ・クレチョフ(Stani Kulechov)氏が参加予定だ。

さらに新会社の取締役会には、ドラゴンフライキャピタルのゼネラルパートナーであるロブ・ハディック(Rob Hadick)氏と、マウンテンレイクアクイジション会長兼CEOポール・グリンバーグ(Paul Grinberg)氏が加わる予定だ。

ちなみに、米ナスダック上場アグリフォース・グローイング・システムズ(AgriFORCE Growing Systems:以下、アグリフォース)は9月22日、アバランチのトレジャリー戦略を開始予定であると発表した。

同社はアバランチのトレジャリー戦略開始に向け、最大約5億5,000万ドル(約817億円)の資金調達の実施と社名をエイバックスワン(AVAX One)へ変更する予定とのこと。

なお「フィナンシャル・タイムズ(FT)」は9月11日、アバランチ財団が2つの暗号資産保有トレジャリー企業を通じて、米国で最大10億ドル(当時約1,475億円)規模の資金調達を目指していると報じていた。

1つは新規のデジタル資産トレジャリー企業の設立、もう1つは既存企業を転換する形で進められているという。なお報道では、これらがAVATやアグリフォースに該当するかは明言されていなかった。

参考:アバランチトレジャリー
画像:iStocks/LuckyStep48

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一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

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