EUがデジタルユーロ計画を加速、米GENIUS法の影響で

パブリックブロックチェーン上での運用を検討

EU(欧州連合)は、米国で成立されたステーブルコインを規制する「ジーニアス法(GENIUS Act)」の影響を受けて、デジタルユーロの計画を加速させているようだ。フィナンシャルタイムズ(FT)が8月22日に報じた。

報道によればEU当局はジーニアス法の成立以降、デジタルユーロ計画の見直しを開始するとのこと。スピードを上げて、推進する機運が高まっているという。

当局はプライバシー懸念から、従来想定されていたプライベートブロックチェーンではなく、イーサリアム(Ethereum)やソラナ(Solna)などのパブリックブロックチェーン上でデジタルユーロを運用する可能性を検討しているという。

欧州中央銀行(European Central Bank:ECB)の顧問であるユルゲン・シャーフ(Jürgen Schaaf)氏は7月、米ドル連動型ステーブルコイン普及加速について言及し、「米ドルがこのように支配的地位を得れば、米国は戦略面・経済面で優位に立ち、自国債務の資金調達をより低コストで行いつつ、世界に影響力を行使できる」という独自見解を表明。

「欧州にとっては、米国に比べ資金調達コストが高くなり、金融政策の自由度が縮小し、地政学的にも依存度が高まる」と話した。

欧州委員会は2023年6月にデジタルユーロ法案を提案したが、あまり進展は見られていない。

ECBのクリスティーヌ・ラガルド(Christine Largarde)総裁は、ECBが2025年10月までにデジタルユーロの準備段階を完了させる予定だと述べている。

今年1月24日、ECBのピエロ・チポローネ(Piero Cipollone)専任理事は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が米ドル連動型ステーブルコインの利用を推進していることに対抗し、ユーロ圏ではECB独自のデジタル通貨となる「デジタルユーロ」の導入が必要だと主張していた。

参考:FT
画像:iStock/paitoonpati

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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