米財務省とCoin Center、「トルネードキャッシュ制裁」めぐる訴訟終結に合意

業界団体の異議申し立てが正式に終結

米財務省とワシントンDC拠点の業界支援団体「コインセンター(Coin Center)」が、暗号資産(仮想通貨)ミキシングプラットフォーム「トルネードキャッシュ(Tornado Cash)」に関連する制裁措置をめぐる訴訟を終結させることに合意したようだ。ブルームバーグ・ロー(Bloomberg Law)をはじめ、各社が7月7日に報じた。

両当事者は、米財務省外国資産管理局(OFAC)が2024年3月に「トルネードキャッシュ」に対する経済制裁の一部を解除したことを受けて、当該訴訟が「無意味」であるとの見解で一致。2022年、OFACは「トルネードキャッシュ」に関連する複数のウォレットアドレスを制裁対象リスト(SDNリスト)に追加していた。

この動きの一環として、米第11巡回区控訴裁判所は、コインセンターが2022年のOFAC制裁をめぐって財務省に提出していた控訴を棄却した。7月3日に提出された書類によれば、裁判所はコインセンターと財務省の共同申請を認め、下級裁判所の判決を取り消した上で訴訟の棄却と差し戻しを命じた。これにより、OFACに対するコインセンターの法的異議申し立ては、実質的に終結した形となる。

コインセンターは、財務省が制裁において「法的権限を超えた」と主張し、独自に訴訟を提起していたが、暗号資産取引所コインベース(Coinbase)が支援する6人のトルネードキャッシュ利用者も同様の訴訟を起こしていた。

コインセンターのピーター・ヴァン・ヴァルケンバーグ(Peter Van Valkenburgh)事務局長はX上で、「トルネードキャッシュ制裁の法的根拠(法定権限)をめぐる私たちの裁判闘争が正式に終結した」と述べ、「政府は、制裁法を極端に広く解釈するという危険な立場を擁護し続ける意思を持たなかった」と付け加えた。

「トルネードキャッシュ」が提供する暗号資産ミキサーは、複数ユーザーの取引を混ぜることで匿名性を確保する技術だ。プライバシー保護目的で開発されたが、その特性がサイバー犯罪に関与した資産の洗浄に利用され、問題視されていた。

OFACは2022年8月、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」がトルネードキャッシュを資金洗浄に利用したとして、同サービスに関連するウォレットアドレスなどを制裁対象(SDNリスト)に追加した。

この措置は、コードやオープンソース技術への前例のない制裁として業界の反発を招き、コインセンターやユーザーらが違憲性を訴えて複数の訴訟を提起していた。ちなみに、今年3月にOFACが制裁の一部を解除したことで、主要な訴訟は終結に向かっている。

参考:報道
画像:PIXTA

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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