スイ財団、DEX「Cetus」ハッキング被害者へ資産返還へ

オンチェーンのコミュニティ投票を要請

5月22日に発生した、スイ(Sui)ブロックチェーンネットワーク上に構築された分散型取引所(DEX)「Cetus(セータス)」のハッキング事件にて、被害を受けたユーザーへの資金返還が5月28日に決定した。

スイの開発を支援するスイ財団(SuiFoundation)は27日、同ハッキングの被害者へ資金返還を目指す対応策を発表。被害額のうち凍結された資金の回収を承認するため、「Cetus」チームがスイ財団に対し、コミュニティ投票を実施するよう要請したことを明らかにしていた。

スイ財団は「コミュニティの投票が承認されれば、資金は攻撃者から回収され、Cetus上でポジションを持っていたアカウントに返還されるまで、マルチシグ信託口座に保管される」と説明。このコミュニティ投票は、「Cetus」の自己資金の使用や、スイ財団からの融資を含む、すべてのアカウント所有者が全額補償されることを保証する大規模な回復計画の一部だとしている。

そしてこのコミュニティ投票は、5月27日20:00(UTC)より開始。投票は6月3日20:00(UTC)までの最大7日間行われる予定であったが、コミュニティの過半数賛成により、投票開始から約2日経った5月29日に早期可決した。バリデーターらの賛成票は最終的に全ステークの約90.9%に達し、反対票はステーク比で1%未満であった。

なお今回の提案について、賛否の声も寄せられている。

バリデーターによる即時の資産凍結と回収策が、ユーザー優先の柔軟な対応策として寄与したと評価する賛成意見の一方で、中央集権化リスクへの批判を主張する反対派の意見も散見された。また、本来プロトコルのバグが原因で生じた損失は当該プロジェクト(Cetus)が責任を負うべきであり、エコシステム全体で救済することを問題視する意見もあった。

「Cetus」は5月22日未明、攻撃者によって約2億2,300万ドル(約321億円)のハッキング被害を受けた。

その後、Cetusは被害額のうち約1億6,200万ドル(約234億円)が凍結されたと報告。残りの資金を回収する方法を模索していた。

参考:発表エクスプローラー(投票結果)
画像:iStock/artsstock

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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