グーグルのETF広告許可や FOMCで 上下するビットコイン。一言解説「Web3スマホ」(暗号資産 市場レポート 2/5号)

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

1/28~2/3週のサマリー

  • Googleは広告ポリシーの更新を行い、暗号資産ETFの広告を許可
  • Ripple社のExecutive ChairmanであるChris Larsen氏が保有する2.13M XRPがハッキング被害
  • 米パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長「3月利下げの可能性は低い」
  • BlackRockのビットコイン現物ETF「IBIT」の取引高がGrayscaleの同ETF「GBTC」を初めて上回る

暗号資産市場概況

1/28~2/3週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比2.14%の6,377,800円、ETH/JPYの週足終値は同▲1.24%の340,845円であった(※終値は2/3の当社現物EOD[2/4 6:59:59]レートMid値)。

前週の暗号資産市場は、週初29日にGoogleが広告ポリシーの更新を行い、プラットフォーム上でのビットコインETFの広告を許可したことが好感され力強く推移。新ポリシー発効後まもなく、BlackRockとVanEckの2社が出稿を開始した。BlackRockは31日に、ニューヨーク、マイアミ、ロサンゼルスの元金融機関外壁に同社のビットコイン現物ETFのアニメーション広告を表示する計画をSECに提出するなど、暗号資産が米国で合法的なアセットとして受容される流れの中で積極的に認知を広げていく姿勢を見せた。

週央にはRipple社のExecutive ChairmanであるChris Larsen氏が保有する2.13M XRPがハッキング被害に遭う事件が発生。事件発覚後、XRP価格は5%以上の下落を見せたが、XRP自体の脆弱性ではなくLarsen氏個人のウォレット侵害であることが明らかになると価格は回復。その後、暗号資産取引所に送付されたXRPは各取引所の協力により凍結された。暗号資産の透明性(送付先が明らかであること)と、犯罪時の各社協力体制が奏功したといえる。

注目されていたFOMCでは、市場織り込みどおり金利目標は据え置かれた。パウエルFRB議長の記者会見では、「政策金利はおそらく今回の引き締めサイクルのピークに達すると考えている」と述べる一方で、2%インフレ目標が繰り返し強調され、現在の金利水準をより長期間維持する可能性が示唆された。現在金利がピークであることが明確になったことはリスクアセット全般にとってポジティブと捉えられるものの、スピーチ全体を通してのスタンスは市場が想定していたよりもタカ的であり、記者会見前後での3月利下げ織り込みは45%から38%まで低下、暗号資産価格は急落した。

ETFのフローは週を通じて良好であった。1/29~2/2のすべての営業日において全ETFへの資金流入出を総合したネットフローはプラス(流入超)であり、2月1日にはBlackRockのETF(IBIT)がGrayscaleのETF(GBTC)の出来高をETF開始以降初めて上回った(下記に参考図表を掲載したため参照されたい)。Grayscale単体のフローに目を向けると、1/22を境に流出が鈍化してきている様子も伺われる。

次週以降は、流出が進むGBTCの残高と流入が進むIBIT(やその他ETF)の残高が逆転し、Grayscaleの影響力が弱まっていく過程を引き続きウォッチしていきたい。また、イーサリアムのテストネットにおける次回アップグレードの最終段階(Holesky)が予定されている。テストネットのアップグレードがスムーズに進んだ場合、メインネットでの次期アップグレード「Dencun」有効化の署名がなされる(メインネットのアップグレードは現時点で3月見込み)。本アップグレードは2023年以降のイーサリアムにおいて最重要の内容であり、進捗状況には注意を払う必要がある。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2/1時点のETFフロー。GBTCの出来高をIBITの出来高が上回っている(白枠部分)]

BloombergのETFアナリストJames Seyffart氏公開のデータよりSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

[ビットコイン現物ETFのネットフローと運用資産残高合計]

(緑・赤のバーがネットフロー / 白線が運用資産残高合計)
SoSoValue提供のチャートよりSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

[Grayscale単独のETFフロー]

(青線が一日のネットフロー / 緑線が運用資産残高の推移)
SoSoValue提供のチャートよりSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

1/28~2/3週の主な予定

2/4~2/10週の主な出来事

【今週のひとこと】Web3スマートフォン

2024年1月17日にSolanaを開発するSolana labsの子会社であるSolana Mobileより同社2代目のWeb3スマートフォン「Chapter 2」の予約が開始されました。

 Web3スマートフォンとは、保有トークンの管理やNFTの発行が可能であったりするなど、スマートフォンを使用してWeb3の世界へアクセスできることに主眼が置かれています。

では、Solana Mobile社が発売するWeb3スマートフォンと従来のスマートフォンとの違いはどこにあるのでしょうか?それはセキュリティです。同社のWeb3スマートフォンにはハードウェアウォレットが搭載されており、高セキュリティでありながらスマートフォンの利便性を享受できることが特徴です。

物理デバイスを持ち運ぶことによるデメリットは存在しますが、Web3スマートフォンが登場したことにより、個人が保有するウォレットのセキュリティ向上や任意のトークンの送金・即時決済などを通してWeb3世界へのアクセスがより簡易になっていくのではないでしょうか。

このレポートについて

国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。

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暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
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この記事の著者・インタビューイ

SBI VCトレード

SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。

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