GBTC資金流出でビットコイン下落も、資金フローが流入に転じ 週後半で上昇。解説は「イーサリアム現物ETF」(暗号資産 市場レポート 1/29号)

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

1/21~1/27週のサマリー

  • GBTC(Grayscale Bitcoin Trust)からの資金流出が週央にかけて拡大し、市場の重石となったことでBTCは一時38,500ドル付近まで下落
  • 週後半にはGBTCからの流出に落ち着きが見られたほか、GBTCの売り圧力の大部分が終了したとのJPMorganの調査結果も相場をサポートしたことでBTCは42,000ドル台まで切り返す
  • 米第4四半期GDP(速報値)は市場予想を上回り、個人消費の堅調さを確認。一方、米12月PCEデフレータは順調に鈍化

暗号資産市場概況

1/21~1/27週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比1.04%の6,244,000円、ETH/JPYの週足終値は同▲7.79%の336,670円であった(※終値は1/27の当社現物EOD[1/28 6:59:59]レートMid値)。

前週の暗号資産市場は、GBTCからの資金流出継続による売り圧力が懸念され軟調にスタート。22日未明にFTXが顧客資産返還のために約10億ドルのGBTCを売却したと報じられるとBTCは40,000ドルを割り込んだ。翌23日には、22日のGBTC資金流出額が過去最大の6.4億ドルとなったことが判明し、1月に承認された他の新規ビットコイン現物ETFへの資金流入ではGBTCの流出分を補うことができなかった為BTCは38,500付近まで下落した。また、同日JPMorganがコインベース株の投資判断をアンダーウエイトに引き下げ、同社株が下落したことも相場の重しとなったといえよう。

週央においてはコインベース株の切り返しとともにBTCも反発の兆しがみられたが、BlackRock社が申請したイーサリアム現物 ETFの承認の判断が延期となると上値を抑えられ失速、40,000ドルを挟みもみ合う展開となった。

週末、JPMorganから「GBTCの売却大部分が終了し、BTCの更なる下落圧力は限定的と予想される」とのレポートが発出され、26日のビットコイン現物ETFのネット資金フローが5営業日振りに流入に転じたことも確認されると、BTCは40,000ドル台まで切り返した。GBTCの資金流出も22日以降4営業日連続での減少した他、新規で承認された大手4ETF《iShares Bitcoin Trust(IBIT)、Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund(FBTC)、Bitwise Bitcoin ETF(BITB)、ARK 21Shares Bitcoin ETF(ARKB)》への安定した資金流入も相場のサポートとなりBTC価格は週末42,000ドル台後半まで伸長した。

今週予定されている米1月FOMCでは、FF金利誘導目標の据え置きが確実視されているが、5月会合までの利下げ開始織り込みが88%に達していることから、パウエルFRB議長記者会見や金曜日の雇用統計には注目する必要があるだろう。暗号資産市場では、足もとで市場の注目度が高く、相場への影響も大きいGBTCの資金フローには引き続き注視したい。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

1/21~1/27週の主な予定

1/28~2/3週の主な出来事

【今週のひとこと】イーサリアム現物ETF

米国証券取引委員会(SEC)は、2024年1月10日にビットコイン現物ETFを承認しました。早くも暗号資産市場では次なる暗号資産現物ETFの承認がどの銘柄になるかに注目が集まっています。

次なる暗号資産現物ETF候補として一番に期待されるのはイーサリアムでしょう。これは値動きからも鮮明に読み取ることができ、1月10日のビットコイン現物ETF承認後にイーサリアムは大きくアウトパフォームしました。

イーサリアム現物ETFは、7社(1月28日時点)がSECへの申請を行っています。先週、SECはBlackRock、Grayscale Investmentsが申請したイーサリアム現物ETFの承認判断を延期しました。承認判断の延期はビットコイン現物ETF承認の過程でもしばしば見られたため、その際と同様にSECの最終判断期限日が市場では重要視されています。申請7社のうち最初に到来する最終判断期限日は、VanEckの5月23日となります。

SECによるイーサリアムの「有価証券」分類の可能性やゲンスラーSEC委員長による発言を踏まえて、各金融機関はイーサリアム現物ETFの早期承認確率を高く見積もっていません。ビットコイン現物ETF承認の過程とは異なり、市場参加者間の承認に対する見立てが相違しているからこそ、収益機会を窺うことができるかもしれません。一方でボラティリティの高い相場にもなり易いため注意が必要です。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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