金融庁、オンチェーン金融の制度整備を検討。証券トークン化やDeFiなど

振替制度や投信の課題を整理、野村とSecuritizeが提言

金融庁が、「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」の令和8事務年度第1回会合を10月20日に開催した。ブロックチェーン上で資金や資産を扱う「オンチェーン金融」の制度上の課題を議題とした。

金融庁は、資産と資金決済手段の双方をトークン化することで、24時間365日の取引や、即時決済を含む決済期間の大幅な短縮につながり得ると説明している。

金融庁の事務局は、ステーブルコインと預金のトークン化、セキュリティトークン(ST)、分散型取引所(DEX)・分散型金融(DeFi)、振替制度を検討テーマとして提示した。イノベーションの促進と投資家保護の観点から、優先すべき法制度上の課題や、証券決済の短縮化に向けた留意点を論点として挙げている。

証券分野では、現在の振替制度と分散型台帳技術(DLT)をどう組み合わせるかが課題となる。振替制度は、株式や社債などの権利関係を振替口座簿の記録によって定める仕組みだ。振替機関として、国債については日本銀行、それ以外については証券保管振替機構が指定されている。

事務局は、共通の台帳記録を保有する場合の責任主体や監督、投資家の個人情報の管理、既存制度との接続を含む振替手続などを論点として示した。

また事務局は、プログマ(Progmat)が運営事務局を務める「デジタルアセット共創コンソーシアム」の民間提言を紹介した。提言は、同コンソーシアムのワーキンググループが4月7日に公表した中間整理に盛り込まれたものだ。「投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)」の券面発行要件が、国内投資信託のトークン化の障害になっていると指摘されている。この提言では、紙の受益証券を発行しないことを認める法改正が求められている。

野村ホールディングスとセキュリタイズジャパン(Securitize Japan)は、同会合の説明資料で、証券や決済手段のオンチェーン対応、DeFiの利用などに向けた制度整備を提言した。

野村ホールディングスは、日本の証券・決済基盤のオンチェーン対応について、実用化に向けた課題を指摘した。そのうえで、国債・株式などの権利移転基盤と、銀行預金・日銀当座預金などの決済基盤を、官民で早急に整備するよう提言した。

同社は、現行の振替法を活用し、振替機関と金融機関が標準化された仕組みを構築する必要性を挙げた。海外の金融機関も円滑に利用できるよう、国際的な市場との接続を重視している。

また同社は、DeFiや、利用者の秘密鍵を管理しないウォレット提供者に過度な規制を設けず、海外と競争できる制度設計を求めた。海外発行ステーブルコインの国内利用についても、大口取引を見据えた保有・移転に関する制約の見直しを提言した。

セキュリタイズジャパンは、パブリックブロックチェーンを前提とした制度設計を基本とすべきと提言した。投資家のウォレットを通じた資産の移転や、DeFiでの利用を想定した環境整備を求めている。

同社は、発行プラットフォーム外のウォレットに移転でき、ウォレット同士でも直接移転できる資産を「分散型」のトークンと整理した。移転先の適格性を管理するホワイトリストなどを備えるものも含まれる。こうした仕組みにより、トークンを担保とした借り入れなど、DeFiとの連携が可能になると説明している。

さらに同社は、機関投資家が利用できる水準のDeFiを想定した制度整備や、海外制度・市場との相互運用性の確保を提案した。既存事業者の利害に偏らず、投資家や資金調達者を起点に議論することが重要との見方も示した。

事務局資料では、海外の事例として、ブラックロック(BlackRock)の米国債などに投資するトークン化ファンド「BUIDL」や、米証券決済大手DTCCによる証券トークン化の取り組みなどを紹介している。

セキュリタイズジャパンは、RWA.xyzのデータを基に、発行プラットフォーム外で移転可能なRWA(現実資産)トークンの時価総額を約390億ドル(約6.1兆円)と紹介した。

今回の研究会は、「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の取り組みのうち、制度面の環境整備を検討する位置付けとなる。同フォーラムでは、2027年初に第2回会合を開き、中間整理と官民連携のロードマップを取りまとめる予定だ。

参考:金融庁・開催案内・金融庁・事務局説明資料・野村ホールディングス・Securitize Japan
画像:PIXTA

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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